日本の政治に愛を取り戻せ

「国民の声を聞く力」や、「新しい資本主義」を掲げた岸田政権も発足から2年が経過しました。経済政策の軸足は、防衛費増額、GX投資、少子化対策の3つにおかれ、「歳出3兄弟」という言葉が生まれました。5年間で43兆円を計画する防衛費、年間3兆円台半ばの少子化対策、10年間で20兆円のGX投資を合計すると、この先、年間10兆円規模の歳出上積みとなります。

歳出増が先に決まってしまっているので、そのあとは財源論、増税の議論ばかりになってしまいました。防衛費をめぐっては2022年末に年1兆円の防衛増税を決め、自民党内の反発を受けて現在でも決着できずにいます。少子化対策の財源についても不透明です。「歳出三兄弟」の財源議論がまとまらなければ、なし崩し的に新規国債発行で歳出が賄われることになり、財政環境の悪化につながってしまいます。そこで岸田首相が「増税メガネ」とまで揶揄されるような状況になっていますが、しかしながら現在の政治状況の中では、だれが首相であっても財源で苦しむことになったでしょう。

歳入の増加をもたらすとして期待される「成長戦略」の一部として、構造的賃上げとそれを実現するための「三位一体の労働市場改革」が提示されています。しかしこれも労働者のリスキリングと転職、職能給への移行という方向性では、かならずしも給与アップにつながるとは言えません。

増税ばかりで日本に「愛」がなくなった、と思われるこの時代、日本の政治に愛を復活させるためには、私の提案する「シルバーマネー」が切り札になります。そして同時に。最低賃金を上げ、非正規雇用を減少させ、一方でさまざまな文化を育て、新自由主義的政治で失われた人間的な活動を復活させる必要があります。政治に、女性の感性がより多く加わる必要があると思います。今回のレポートでは「自民政治の失敗」「シルバーマネーの必要性」「維新の失敗」「地球温暖化対策の現状」を中心に書かせていただきました。

要旨
日本の失われた30年は、国民の可処分所得が減少したから。その原因は、雇用の劣化と、社会保障費の増加にある。このまま行けば、自民政治は日本の根幹を掘り崩してしまう(インボイス・マイナ保険証・消費税増税)
・日本の社会保障と、財政健全化を両立するためには、シルバーマネー(日本の第二通貨)が必要 
・維新の台頭は、身を切る改革、大阪都構想、大阪・関西万博という言葉に、多くの市民、特に男性が、「カッコよさ」を感じ、うまく乗せられてしまったから。どれもうまくいっていない。維新の政策は、日本の未来の方向を示していない
日本の社会、政府は地球温暖化対策の必要性を直視できなかった。現在でも美しい言葉、大きな目標を並べているだけで、必要な社会改革、産業改革が出来ていない。

 

 

 

 

最後に一言、現在夢洲の地理的な条件などで非常に苦戦している「大阪・関西万博」の今後ですが、吹田市の万博記念公園を利用することで、夢洲の混雑や、建物建設の難しさを緩和することはできないでしょうか?日本政府・企業関係のパビリオンは夢洲で、海外パビリオンは万博記念公園で、と、複数会場での開催は出来ないものでしょうか?私はこの問題からすっかり離れていたので、詳しい現状分析もできませんが、なんとか、この万博が、「出来ませんでした」、ということにならないように、心から祈っています。