平成29年8月ご挨拶

皆さんご無沙汰しています。この夏も暑い日が続いており、皆さま体調には十分お気遣いいただきたいと思います。日本、世界の政治情勢においては、閉塞状況にあるようにも感じられますが、その底流に新しいムーブメントも見え始めました。

今日は、世界の政治のムーブメント、日本の政治のムーブメントについて私が認識しているところを少し書かせていただいた上で、私がこの半年間行った作業についてご報告いたします。人の見えないところでしている作業ですが、私が書いた本やレポートが、少しでもこの国や世界のためになれば、という気持ちは失っていません。ぜひこの小文に加えて、レポート等もお目通しいただければと思います。

まずアメリカからです。トランプ氏がなぜアメリカ大統領になることができたのか、については、一言でいうと、トランプ大統領が、古き良きアメリカの地方の父親を彷彿とさせる、嫌いになることができないキャラクターを有していたのに対し、ヒラリークリントンが、日常的にアメリカの中以下の所得層が憎悪しているエスタブリッシュメントの匂いをさせていたからに他なりません。また、TPP問題、移民問題、医療保険問題、そして地球温暖化に対応するためのCO2排出規制問題(石炭産出地域である五大湖周辺のラストベルトで特に)で国民の不満が高まっていた中で、トランプ氏が、アメリカ第一主義で何でも解決するぞ、と大きな声を上げたことに対して、アメリカ国民が、出来る、出来ないにかかわらず、とりあえずやらせてみよう、という判断をしたから、というのが、大方の理解です。

一方で、トランプ政権の誕生は、世界の右傾化をさらに強めることはなく、逆にヨーロッパにおいてはイギリスのEUからの離脱(ブレグジット)と、トランプ政権の誕生が、各国で極右政党の勢いを削いだように見えます。本年5月7日にフランスで行われた大統領選挙では、「グローバル主義者・進歩主義者」と評されるエマニュエル・マクロン氏が、「ナショナリスト、極右」と評されるマリネ・ルペン氏に対し66%の得票率で勝利しましたし、その後行われた下院選でも、マクロン率いる「共和国前進」が大勝しました。緑の党対、極右の闘いとして注目されたオーストラリアの大統領選挙でもリベラル派、緑の党のファン・デア・ベレン氏が僅差で勝利し、極右政党の元首が誕生することはありませんでした。これにより、EU分裂の危機は去ったと考えられています。

しかしながらヨーロッパにおける極右政党の勢力拡大が一段落したとしても、世界中の政治において、これまでの保革対立の図式が崩れ、グローバル主義者とナショナリストの対立、あるいは国内における地域の分断(すなわちグローバリゼーション、すなわち国境を超える資本と人の移動によって豊かになる地域と、それらの移動が脅威となる地域に国民国家が分断されていること)がより顕著になっているといわれます。それに加え、世界中で政治不信が高まり、投票率の低下が起こっています。民主主義が危機的な状況にあると指摘される所以です。

私は、この世界の政治不信は、現在の政治が、世界中に起こっている経済的不均衡、地球温暖化問題、難民問題、テロ問題などを十分に解決できていないからだと感じています。しかし、一方で、現在国連が行っている対策やEUあるいは世界の各地域における政策が、決定的に誤った方向に向かっているとは思いません。特に地球温暖化問題においては、パリ協定で地球環境問題解決への重要な一歩が踏み出されました。今後、アメリカなどで既得権益者との調整がつけば、この問題は一挙に解決の方向に向かうと感じています。もうしばらく我慢して、世界の人々に成果を示せるまで、この協調体制を続けるしかないのです。

次いで、日本における政治状況を概観します。フランスの政治学者ピエール・マルタンは、先進国の政治が保革対立の二次元の対立から、徐々に「リベラル―グローバル主義」、「社民―エコロジ―」、「保守―文化アイデンティティー」の三次元の対立に再編されていくと占っています。安倍政権をこの視点でみますと、安倍政権は経済においてグローバル主義をとり、文化において超保守主義をとり、そしてエコロジーに関しては、原発・石炭産業推進という意味で反エコロジー政策をとっています。現在の野党は、与党の失点をあげつらうことはしますが、各党の政策的立ち位置を明らかにすることができていません。民進党は、原発については口をつぐみ、経済については安倍政権と同調し、文化については、自民党ほど保守的でないという立場をとっています。これでは、民進党は思想的に、安倍政権を嫌う無党派層の受け皿になることはできません。反安倍の思想的立場として考えられるのは、軍事面ではより穏健、地域文化については保守的、そしてエコロジー重視で、経済政策についてはより進歩的という立ち位置で、小池都政、都民ファーストは、オリンピック推進と築地市場の重視、環境政策重視と、まさに表面的にはこのスタンスに立っているといえましょう。

しかしながら、小池知事はオリンピックの準備で忙しく、国政にまで手を伸ばせるとは考えられません。また、小池知事は現在のところ「水素社会の導入」に熱心であり、原発問題、再生可能エネルギー問題でどこまでディープにエコロジーを追及するのかは見えてきていません。この状況の中では、小池知事が自民党にかわる受け皿としての国政政党を早い機会に作ることは難しいと思います。小池氏と近い若狭衆議院議員の動きが注目されていますし、自民党の中から、あるいは民進党から、なんらかの動きがあると思われますが、それについて私が軽々しく述べることはできません。

一方国民は、地球温暖化問題、財政問題、社会保障問題、少子高齢化問題などで、日本がどうしようもないところまで追いつめられていることを感じています。そして、各政党がそれらの問題に対する解を持っていないことまで見抜いています。そこで、社会には無党派が増え、また特定の選挙を除き、投票率も上昇しないのです。

私は、このような社会状況、政治状況のもと、世界と日本が解決しなくてはいけない問題の解を出すことに、この半年注力してきました。新たに上梓した、「パリ協定と世界みどり公社」においては、最新の地球温暖化対策を巡る状況について説明するとともに、現代の資本主義社会が日本にもたらしている、他の多くの問題についても解決のための基本方針を打ち出しています。そして、今回はこのHPに、日本にとって特に重要な「少子化問題」と「貧困の連鎖問題」について書いたレポートも示させていただいています。お読みいただけたら幸いです。

8月に入ってから、各自治会の盆踊りを回らせていただき、しばらくお会いできていなかった地域の方々のお顔が見れて、とても心温まる思いがいたしました。今後日本にどんな政治の動きがあり、私がそれにどう対応していけるかは未知数ですが、こんな私でも、何か地域、日本のお役に立てる可能性があれば、働きたいとは思っています。皆さんからの温かいご支援を今後ともよろしくお願い申し上げます。

レポート

少子化問題

 

貧困の連鎖問題

 

 

 

 

 

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