意義ある大阪・関西万博に

2025年大阪・関西万博の運営主体、日本国際博覧会協会が、会場整備に向けた準備で正念場を迎えています。
大阪・関西万博の会場の第一の特徴は、これまで万博の集客のために必ず作られてきた、エッフェル塔や太陽の塔のようなシンボルとなる建物をつくらなかったことです。そして、花博跡地や万博記念公園をサテライト会場として用いることも特徴の一つです。準備状況に懸念を示す方が多いなかで、博覧会協会がおちついているのは、おそらく、沢山の集客を目指すのではなく、予約制をとり、ドバイ万博の三分の一という狭い会場の中で対応できる数だけの来場をさせようと考えているからだと思われます。しかしながら、例えば、この2月に開かれた関西財界セミナーの中で、関経連会長の松本正義氏は、8人のプロデューサーが手がける8つのテーマ館について「8人の方が何をやっているのか、さっぱりわからない。多額の資金を集め、万博の顔として設置されるのに、2820万人の来場者の〝心に残りました〟というだけでいいのか。強い危機感を持っている」と懸念をあらわにしています。私は、「心に残りました」であれば、まだいいけれども、何も残らないのではないか、と危惧しています。

この3月に閉幕したドバイ万博など、近年、万博の意義について、「人類が抱える地球的規模の課題に対し、世界から様々な知恵を一同に集め、その解決方策を提言する場」と考えられるようになりました。このような視点からは、本来2025年万博においては、地球温暖化対策や、SDGSの達成について取り組まなくてはならないのですが、現在の日本においては、この点について国内の合意がありません。そこで、無事に万博を終わらせたい博覧会協会としては、できるだけこの人類の課題について触れないようにしたいと考えているのかもしれません。そうであれば、本当に「無事」に万博が終われば、それで良かったという事になるかもしれませんが、そうなるとこの万博は「世界に対して日本の何かを発信したい」という一般的な日本人の感覚、「日本人は世界の危機に際して何かやってくれるかもしれない」とする海外の人々の期待からは遠く離れたものになってしまいます。

私は、EXPO’70の跡地にあった太陽の塔や万博美術館などの保存活動をし、テーマ館の副プロデューサーであった小松左京先生や岡本敏子さまからさまざまなお話を聞くことができました。そして、EXPO’70が日本人にとってどれだけ大切なものであったかを知りました。今回の万博もそのような素晴らしい場になる可能性があるのなら、むざむざその機会を見逃すべきではないというのが私の意見です。どうか、私が数年前に書いた文章と、勝兵塾での講演をおこなったYouTube動画を見てください。

会場整備の他に、大阪・関西万博については公式ロゴについて問題がありすぎます。このロゴデザインはアートディレクターとして活躍しているシマダタモツ氏代表のTEAM INARIの作品ですが、グロテスクで美しくないという評価がなされていました。EXPO‘70のシンボルであった太陽の塔についても、当初グロテスクであるなどの批判を受け問題になりましたが、太陽の塔にこめられた、さまざまな哲学が理解されるにつれ、あるいは当時日本万国博覧会協会会長であった石坂泰三氏が、「これさえあれば万博は成功だ」と太陽の塔を持ち上げたことから批判は収まりました。今回の「いのちの輝きくん」あるいは「コロシテくん」などといわれるこのキャラクターについては、SNS上の批判はあれど、メディア上での批判をあまり聞いたことがありません。良くないものを、良くないという能力さえ、現在の日本社会はなくしてしまったのでしょうか。あるいは、ここから展開したキャラクターデザインも見るに堪えないものです。こんなものを選出してくる日本は、何かおかしくなっているのではないでしょうか。
パリの国際博覧会事務局も問題視しているようです。