維新の政策は、日本の未来の方向を示していない

関西学院大学法学部教授の冨田宏治氏は、維新の政治は、新自由主義的・市場原理主義的な政策を「身を切る改革」「官から民へ」のスローガンのもとで強行し、自らを生み出す条件となった大阪における貧困と格差を一層深刻化させたと書かれています(『維新政治の本質』より)。橋下徹氏や吉村大阪府知事の個人的人気、あるいは大阪都構想、大阪・関西万博誘致などのキーワードで人気をあつめた維新のブームは、一時的なブームを越えて、2021年10月に行われた第49回衆議院選挙においても、その勢いは衰えませんでした。

比例代表の日本維新の会の得票率を見ると、維新の会の得票数は805万票で得票率は14.01%。これは前回の国政選挙である2019年参議院比例代表の得票率9.80%を4.21ポイントも上回っています。率にして43%の増加です。維新は、吉村大阪府知事の人気とマスメディアへの露出により、大阪の小選挙区において、公明党と政策協定をした区を除き、全勝しました。マスメディアが吉村氏に肩入れしすぎたという事実を越えて、維新には、候補者の若さ、清新さ、あるいは維新の使う、身を切る改革、大阪都構想、大阪・関西万博という言葉に、多くの市民、特に男性が、「カッコよさ」を感じ、うまく乗せられたのです。

しかしながら、維新の政策を見ると、大阪府市における、多くの福祉政策や文化政策の切り捨て、今回の大阪・関西万博の夢洲会場の大トラブルなど、大阪の底力まで削り取るような、大失策に結びついています。「身を削る」だけでは、現在の日本の諸問題を解決できませんし、「地方からの改革」首長目線での改革では、日本の運営システムの根源の問題を解決することはできないのです。この意味で、現在の日本維新の会の政策は、日本の未来の方向を示すものではありません。

私はこのように考えます。世界経済が中国や東南アジアへ拡大し、ネットワーク化していく中で、大阪がその流れから取り残されたこと、日本政府が大阪の疲弊や東京一極集中をもたらす経済システムを維持したこと、地方の劣化縮小、雇用の質の劣悪化の中で、家庭が持続不可能な状態になり、少子化が進んだことが、日本の現在のシュリンクをもたらしたと。過去の経済的な成功の残り火で、日本社会の中にはまだ温かいところ、豊かな文化がありますが、現在の日本の経済・福祉政策をそのままにすると、日本人の生活はさらに苦しいものになります。