参議院選が過ぎ去って

今回の参議院選挙については、私は何人かの候補の街頭演説を見させていただいた以外は、すべてネットの動画を通じての選挙の参加(というか観戦)になってしまいました。この選挙の評価については、国政選挙で50%を切る、これまでで二番目に低い投票率が示す通り、多くの市民の皆さんが当事者感を持てなかった選挙であったと思います。その理由は、与党側というか政府側が、G20などを含め、大変に忙しい中で選挙を行ったので、国民と向き合う形を十分につくれなかった、ということもあるでしょうし、野党側として、際立っていたのが山本太郎氏であり、あるいはその他の少数の政党要件を満たしていないグループであったため、活動が十分でなかったともいえましょう。野党協力が1人区にとどまり、立憲民主党、国民民主党が先頭に立って、与党と闘う形を作れなかったことが、政権選択選挙である衆院選挙でないこともあって、選挙の盛り上がりをつくれなかった理由であったかと思います。

しかし、老後資金について、年金の二千万円不足問題にはじまり、消費税、景気、年金に関しては、主要メディアの中では少なかったのですが、ネットを通じてかなり熱い議論がなされていました。特にもと内閣官房参与の藤井聡先生が、消費税率アップ反対の論陣を経済評論家の三橋貴明氏などとともに組み、あるいは令和新選組の山本太郎氏、国民民主党の玉木氏なども、経済学で言うところのMMT(現代貨幣理論)にシンパシーを示し、消費税上げに対する反対勢力が分厚くなり始めていたことは注目されました。結局その勢力は、選挙結果に対して大きな影響を与える所まではいきませんでした。そして、与党にも野党にも投票できない有権者が、維新や、諸派に投票した、あるいは選挙に行かなかった、というのが今回の選挙の結果につながったと言えましょう。

この選挙の結果をふまえ、日本の将来へどのような新しい政治の枠組みを作るべきか少しだけ考えてみたいと思います。

選挙に対する信頼が失われるということは、本当に大きな問題です。選挙によって、社会の権力が、あるいは入れ替わり、状況が改善することを前提に、現在の様々な不合理や苦しみに耐えている市民の方もいらっしゃると思います。そこに期待できないということであれば、本当に多くの人が希望を失い、自暴自棄になり、反社会的になります。そうならないためにも、選挙による権力の移動はどうしても必要です。

そして現実の社会の中で、現在の安倍政権ではどうしても変えられないように見える、誤った社会の方向性があります。それが、地球温暖化対策であり、エネルギー問題であるようです。新たな、政治勢力の結集は、これらの問題を基本に据えて行わなくてはなりません。
あるいは、MMTについて、ここで説明することは避けますが、私はあまり良い考えとは実は思わないのです。MMTの方々は仰っていることはよくわかります。だから、MMTの方々が実現したい教育や社会インフラへの投資を、シルバーマネー使って社会保障費を減らすことによって実現すればよいと思うのです。プライマリーバランスの維持を目指しつつ、より国内に潤沢なお金を巡らせる方法としてのシルバーマネーも新しい政治転換の中心たりえると思います。

これ以上は書かないでおきましょう。私が申し上げられることはただ一つ、大きな社会の転換の方向が見えないから政治が動かないのです。まず社会の指導層に新しい政治思想を理解していただきたい、と述べつつ、筆をおきます。