提案できなかった不信任決議案

私は本市議会に対し、吹田市長井上哲也氏に対する地方自治法178条に基づく不信任決議を行うことを求める。井上市長は下記四点に集約される「政治とカネ」の問題、及びその後の市民と市議会を欺く対応により、市民の吹田市に対する信頼を大きく損なった。

                 記

1.太陽光パネル設置工事の単独随意契約
 平成24年10月31日付で報道された環境省補助事業であるグリーンニューディール基金を活用した市役所低層棟太陽光パネル設置工事において、自らの後援会副会長が社長を務める本市指名業者と不透明な単独随意契約を締結し、公金の不正な支出があったとして住民監査請求され、その後、提訴された。
決済の責任、部下への監督責任、特定業者との癒着とも思える契約の構図、その後の不誠実な対応、どれをとっても市民並びに市議会へ誠実な説明をつくしているとは思えない。

2.自民党支部間での資金移転(領収書偽造
 平成25年10月22日付で報道された自民党吹田第1支部から自民党吹田市支部への寄附の支出に関し、当時の会計責任者の「記載ミス」だとして府選挙管理委員会へ訂正を届けた。平成22年1月から平成22年10月までに毎月10万円の収入が自民党吹田市支部にあったとして領収書を10枚偽造したが、実際には自民党吹田第1支部から出金された金は自民党吹田市支部へ入金されておらず、その金の所在も曖昧なまま、井上氏自身が確認もしていない。この自民党支部間の資金移転は、単なる記載ミスとは到底考えられず、意図的に行われたものだと言わざるを得ない。
 当時の会計責任者への監督責任、政治資金を取り扱うことへの責任感の希薄さ、適正な政治資金収支報告を怠る態度は政治家としてあるまじきものであり、市民団体から政治資金規制法違反罪で大阪地検特捜部に刑事告発されていることも政治不信を招く重大な問題である。

3.大阪維新の会からの入金不記載
 平成25年11月22日付で報道された「大阪維新の会」から「井上哲也後援会」への寄附金99万5千円についても「記載ミス」だとして政治資金収支報告書を訂正した。当時、「大阪維新の会」の会計責任者は井上哲也氏であり、自身の後援会である「井上哲也後援会」への支出において不適切な会計処理がなされていたのである。それを記載ミスだと主張しても、当然、容認できるものではない。今後の再発防止策もなく、事後の処理についても事実かどうかさえ分からない不誠実な説明しかなされていない。

4.市民並びに市議会への説明責任
 自民党支部間の資金移転について井上哲也氏からの説明をもとめるために開催した市議会全員協議会への出席を正当な理由もなく拒否した。平成25年12月定例会における本会議質問の答弁も、不遜な態度で、聞かれたことにも答えず、持論を強弁するだけで議論も噛み合わず、市長としての説明責任を果たしているとは到底思えない。これら議会軽視の態度は市長として不適格であると言わざるを得ない。また、市民への説明も充分ではなく、これら一連の「政治とカネ」の問題で、公職としての吹田市長の名誉と権威を大きく失墜させたことに対する責任は重大である。

上記のように100条委員会に付託されていない新たな問題が明らかとなったことに加え、市長が自ら辞任しない旨を明確に述べているため、本市議会に井上哲也氏に対する不信任決議を行うことを求める。   
尚、私山口克也は、この不信任案提出にかける覚悟を示すため、本年12月末日をもって吹田市議会議員を辞職することをここに表明する。井上市長には、私の辞職の真意をご理解いただき、議会を解散することなく辞任されることを希望する。

               平成25年12月24日  山口克也 他  名

平成25年12月定例会 二度目の不信任案提出を図るも不発

平成25年12月24日、この日に行われた吹田市議会12月定例会の最終日は、私にとってまた新たな残念な日の一つになりました。

皆さんもご存知のとおり、現在の吹田市長井上氏は、自らの後援会役員の企業から太陽光発電装置を単独随意契約(入札や、見積もり合わせをしていないということです)で市価よりも高い値段で吹田市に購入させた件(グリーンニューディール事件といいます)で昨年末より100条委員会にかけられていました。(吹田市に損害を与えていないか責任を追求する場です)その井上市長が、今度は別の事件、自民党や大阪の維新の会支部の政治資金団体を管理する中で、それぞれ約100万円が架空の領収書を作成するなどして使途不明になっていることが報道され、(個人的に何かに使ってしまった可能性がある)その詳細についてもこの12月議会で追求されました。その中で、井上市長は知らない、分からないなどという質問者と向き合わない答弁を続け、吹田市議会全体として、市長に不信任を突きつけやめさせるのか、それとも反省しなさいという問責決議案だけを出して一段落とするのかを判断する日がこの24日だったのです。

正式な不信任理由は別添の通りですが、不信任決議には、それに加えてさまざまな背景があります。私が市長を早いタイミングでやめさせるべきだと思ったのは、最近市長側から提案されてくる議案に、明らかに吹田市に大きな損害を与え、特定の企業に利益を与えてしまうものが増えてきたからです。それらの議案は、議会の審査の中で、その殆どは修正されたり、継続になったりしていますが、それでも、表面的には大丈夫だが将来的にはこれは吹田市に大きな損害を与えてしまうのではないかと思われる議案が通ってしまうこともあります。知らないところで毒の入った議案を通させられているのではないかという恐怖感を感じ始めました。

このような事態の中で、この12月議会には、もう市長に答弁を求めてもしかたがないのではないかという空気が議会に流れ、民主党の議員などは個人質問を行いませんでした。私も、政策的に言いたいことは9月議会で言ったこと、あまり汚い言葉を並べて市長を攻撃するのは、自分の人格が(そんなものがあればですが)汚れるようで嫌だったこともあり、個人質問を行いませんでした。

このような雰囲気の中で進んだ議会だったので、私は不信任案が出た場合、多くの会派が賛成をせざるを得ないと最初は考えたのです。しかしながら、議会が進むうちに、やはり不信任案は100条委員会の報告書を受けてから(100条委員会は、もう一年以上審議を続けています)とか、井上市長をやめさせたあと、誰が市長になるのだとか、さまざまに思惑が入り乱れ、不信任案は通りにくい形勢になったのは私にも分かりました。このような空気の中で、民主党の竹内市議が、市長を辞めさせない問責決議案で、議会を取りまとめていったのです。

私は、榎内議員と生野議員の3名で不信任案を提出することを決意しました。それは、吹田市の手足をむしり取っていくような、井上市長の政策を一つでも実現させたくなかったからであり、とくに私は最近発行した私のマニフェストにも書きましたが、国循と吹田市民病院の問題で、吹田市が危機的な状況にあると感じていたので、この点についてできるだけ早く進行を止めたいという思いがあったからです。さらには、早く吹田市の政治を浄化して欲しいという市民の皆さんの声に応えたかったからで、どの議員も不信任案を出さない議会という評価を受けるのを避けたかったからです。

さらに一点、市長は自分が辞めるのではなく、必ず議会を解散すると言っているという風説が流れ、私は全く非のない議員のみなさんの立場をどうしたら守れるのかを考えました。そして、私は今回の不信任案の提案時に、とりまとめた私が責任をとって辞めるから、市長は議会を解散することなく、辞任するように、という一文を加える予定でした。

ところが、議会への不信任案の提出がうまくいきませんでした。まず、議案は議会に上程される前に、議会運営委員会にかけられますが、不信任案を委員会に提出したところで、私たちは不信任案を提出させたくない側から攻撃をうけました。そして、最低3人は必要な提案議員のうちの一人生野議員は、「通るはずのない不信任案で山口君を辞めさせるのはかわいそうだ」という攻撃にあい、あえなく不信任案提案側から問責決議案提出側に回ってしまったのです。

議会においては、問責決議案が提案されました。私と榎内議員が質問する側にまわり、どうして不信任を出してもいい状況で問責決議に留めるのかという質問をしました。さらには、多くの議員が議会で質問をすることさえもしない状況で、市長に何を期待するのか、いつになったら不信任案を出すのかと提案者である竹内議員に質問しました。これらに対し、竹内議員は、100条委員会の報告書が出ていないからと答弁し、私の意見だが、と断った上で、市長に期待するところはなにもない、不信任案は臨時議会を開くか、遅くとも3月議会で必要な予算だけを通してから(このあたりのニュアンスは曖昧でしたが)行うと答えました。私は、100条委員会の結論が不信任の前提であるという意見には賛成できないとした上で、問責の提案者となった議員(私と榎内君を除いた全員)に対し、吹田市の政治を浄化しなくてはならないと思っていない方がいたら発言して欲しいと問いただしました。もちろんだれも手を挙げませんでした。このようにして、議会全体に、公の場で、不信任に向かって進んでいるということを明確に意思表示させたことはかなりの進歩だと感じたのですが、結局この議会で不信任を勝ち取るという私たちの目的は達せられなかったのです。

私が、自分の市議会議員の職をかけてでもと思って挑んだ今回の不信任案の提出でしたが、市長側でなく、議会側の大きな壁に阻まれた格好になりました。大変残念です。完敗です。
国循と吹田市民病院についての政策を転換させたいという私の思いは、第二幕目では打ち砕かれたのですが(第一幕は9月議会です)、私の指摘した国循移転、市民病院建て替えの問題点の指摘(どうか9月議会の私の代表質問の最後あたりを見てください)は今でも正しいと思っており、また吹田市民の医療が危機に瀕している(吹田市民病院独法化⇒移転、新築⇒とんでもない赤字⇒民間に売却⇒現在のレベルの医療が失われる)という認識もそのままです。なんとか救える道はないのか。私は、病院とは、営利目的で決して行ってはならない、いわば魂の置き場所であると感じています。多くの市民の魂の置き場所である市民病院を奪ってはならないと心の底から思いますが、皆さんはどうお感じになるでしょうか?

私は不信任案を結局出せませんでしたから、責任を取って辞めることなく、不信任案が可決されるまで、そして不信任がうまくいかなくてもあと一年しかない私の任期の中で、この問題についても頑張ろうと思います。

色々な方の期待を裏切ったと思います。申し訳ありません。

                       山口克也