◆ 吹田市議会における質問(平成15年3月議会質問)

会派未来の山口克也でございます。個人質問させていただきます。
今議会の冒頭で、市長がご挨拶をなさいました。私は市長が述べられたこの四年間におけるさまざまな成果や、今後についての思いを、与党として市長をお支えした時のことを楽しく思い出しつつ、あるいは、さまざまな政策において市長にご意見を申さざるを得ない現在のことなど、考えながら感慨深く伺わせていただいておりました。そして最後にどうしてもこの思いを打ち消すことができませんでした。

市長はこの四年間私が議員として言いつづけてきた助言や、議会発言を通じての批判をどのようにうけとめられたのかと。結局私の申し上げたことを聞き流しただけで、真摯に受け止め、施策に反映されてこなかったのではないかと。本日は私も四年間の議会活動のしめくくりとして、これまでに市長にお訴えし、答えをいただいていない問題についてもう一度ご質問致します。繰り返しになる部分も多いのですが、納得できる回答をいただいておりませんのでお答え下さい。

まず、焼却場建設問題からお伺い致します。市長は今回のご挨拶で、行政評価システムの確立に努めてまいりたいと強調されています。行政評価に関して私が、4年前民主市民連合で行った最初の代表質問でこのように申しあげていたのを覚えていらっしゃいますでしょうか。

通産省の政策評価研究会の政策評価の現状と課題という研究レポートでは、政策評価、そのなかでも事前評価を行う際、1.なぜ、行政が行わなくてはならないのか、という理由の説明、2.投資を行う事によってどのような効果を目指すのか、というう目標の指標化、3.その目標を達成するために幾つかの方法がある場合、それぞれについてのメリットデメリットの比較、4.パブリックコメントいわゆる市民参加による決定が必要だとされています。

市長の今回の焼却場建設決定にいたる過程は、はたしてこの政策評価の基本に忠実であったかです。

1. に関して事業系ゴミのどこまでを市が受け入れ、どこまで排出者、収集業者、処理業者に自助努力をさせるべきか、という政策決定をなさいましたか、お伺い致します。
2. に関して、投資に際して、ゴミ処理を確実に行う、ということ以外に、ゴミ処理システム全体が地球環境へ与える影響の検討、ゴミ処理コストをどのように引き下げるのかという検討はなさいましたか、お伺い致します。
3. 市長は、あるインタビューで、ゴミの減量を図って、できれば、400トン炉だけの建設ですませたいと仰っていますが、最初から、ゴミ減量を前提に400トン炉をつくるケース、600トン炉をつくろうとして、400トン炉で止めたケース、600トン炉までつくってしまったケースのそれぞれを、比較検討されましたか。もし比較検討されたのなら、それぞれのケースで総工費と、ごみ焼却単価にはどのような差がでるのかお答え下さい、比較しなかったとすれば、それは何故ですか。
4. 私の質問に対し、吹田市ゴミ焼却施設建設検討委員会では、ゴミの将来量の予測、 焼却施設のゴミ処理能力の検討を行わないと答弁されましたが、それは何故ですかお答え下さい。

すなわち市長はあいさつで、麗々しく行政評価システムに取り組むとかかれていますが、この焼却施設整備計画の策定においては、当然行うべき評価の手順を踏み外されているのです。それは何故ですかお答えください。

それからこの能力600トン/日、535億円という建設コストはどう考えても高すぎます。 市長はあるインタビューで施設本体の建設費は441億円ですが、既設2炉の解体経費などを含めると535億円かかると、解体コストで高くつくようないい方をされていますが、現在2炉の解体コストではいくらを見込んでいるのかお答え下さい。

愛知県豊橋市の資源化センターの建設では、8700kwの発電設備のついた熱分解高温焼却溶融炉 能力400トン/日と、吹田市でいう破砕選別工場能力70トン/日、そしてリサイクルプラザまで全て含め、仮設、移設工事などを含めた総工費で約182億円でつくっています。この工事と吹田市の建設コストを比較し、市長は市民の感覚では、この吹田市のコストは高すぎると感じると思われますか、思われませんかお答え下さい。もし、高すぎると感じると思われるのなら、どうして市長はこの建設計画を進める意思決定をなされたのかお答え下さい。市民に対してこのような税金の使い方をすることが申し訳ないと思われないのですか。

次に万博記念公園の文化施設についての質問に移ります。わたくしは、万博記念公園の文化施設は、万博当時から残っている最後の建築物として、太陽の塔とともに、歴史の貴重な証言者であると思っています。日本の戦後の復興、高度成長の記念、あるいはもう日本では2度と開催できないであろう6400万人の人達を集めたイベントの記念、世界に日本から発信された、進歩と調和、生命の尊重のメッセージ、わたくしはこれらは、あきらかに吹田市が守って行かなくてはならない、歴史的遺産であり、国立国際美術館などの保存の必要性は、その建物としての美観、有用性に加えて、これらの歴史を背負っていることから生まれてくると思っています。

市長はご挨拶の中で、ふるさと吹田の原風景を再構築し、自然の恵みや歴史的遺産が大切にされている吹田にしていきたいと仰っています。市長は、国立国際美術館があり、EXPOホールがあり、日本庭園の入り口がありバラ園があるというあの万博記念公園の文化ゾーンの光景は吹田の原風景であるとおもっていらっしゃるのでしょうか、そうは思っていらっしゃらないのでしょうかお答え下さい。

市長はあるインタビューで、国立国際美術館の建物を吹田市が譲り受けることに、吹田市の財政事情のなかでは難しいと仰っていますが、吹田市としては、この歴史のある建物を保存するために、この4年間どのような努力をされてきたのかお伺いします。全くなにも努力されてこなかったのではないですか。吹田の竹林や、このような万博の建物など、本当に素晴らしい物を、やれ吹田の原風景だ、吹田の宝だ、と言葉だけでは持ち上げておいて、実際それが失われる時には、全く何の努力もしないのが、市長の手法ですか、お答え下さい。

いま万博記念協会内部で、万博から30年が経過したことを期に、万博を記念することそのものを止めようとする動きがあると仄聞しています。これに加えて、万博記念公園周辺には、巨大な開発の話が持ち上がっています。北摂7市3町を合併させ、万博記念公園をその新市の中心ゾーンにするため、日本庭園地域を除いて開発しようという計画です。わたくしは、ある市長与党の同僚議員からこの計画をお聞きするとともに、市長が大変この計画に協力的であるともお聞きしています。その議員は、国立国際美術館もEXPOホールも、また太陽の塔もあると邪魔だから壊すんだと言われていました。

市長は、先の議会で、北摂7市3町が将来合併することもありえるという個人の考えを披露されました。さらにいま盛んに各地で吹田操車場跡地と大阪モノレールの万博記念公園駅を結ぶモノレールの建設をしたいという考えを述べられています。これらの発言も、あるいは、市長が市民にも議会にも何も知らさないで、EXPOホールおよび国立国際美術館について、吹田市は使用しないと万博協会にたいして回答なさったのも、結局は吹田操車場跡地とともに、この万博記念公園の開発を行いたいからではないですか。お答え下さい。

市長は、先ほどから引用しているインタビュー記事で、この美術館を市単独で維持管理することには市民の皆さんの合意もえられないと仰っておられますが、市長はどうやって民意を確認されたのでしょうか。市民参加といいながら、市の重要な文化施策に関わるこのような問題で、市長がかってにこれが民意だと決めつけて宜しいのでしょうか、お答え下さい。

次に梅田貨物駅移転計画についてお伺い致します。市長は今回のご挨拶のなかで、基本協定の条項が誠実に履行されなければ事業着手の合意に至らないと仰っていますが、どのような状況の下で条項の誠実な履行が行われたと判断されるのか、お聞かせください。特に梅田貨物駅に残る約半分の大阪市内への移転という条項については、大阪市が移転先を表明した段階で履行が行われたとするのか、実際に移転先の受け入れ工事が完了した時に履行が行われたとするのか、判断のタイミングが全く違ってきます。受け入れ先に決まったところが、後になって住民の反対で受け入れが出来なくなる事も考えられます。あるいは、住民との円滑な合意形成はどのタイミングで図られたと判断なさるのですか。

市民は、結局はあるタイミングで各条項が遵守されたと判断され、移転が行われると市長の言葉を解釈することになると思われます。市長は市民が真に納得するまで、各条項が遵守されたという判断は行わない、と仰るでしょうが、市民が納得したかどうか、どのように判断されるのですか

吹田操車場跡地開発についてお伺い致します。市長はこの跡地開発について魅力的で個性のあるまちづくりを目指すとされていますが、いま吹田市内の多くの集合住宅で空室が目立つようになってきた、あるいは江坂駅のすぐ近くのマンションでも三分の一空室になっているような状況があることをご存知でしょうか。このような状況のもとで、さらに多くの住宅を、インフラ整備に多額の市税をつぎ込んでまで建設する必要があると思われるのでしょうか。吹田市がある地域の開発について考える場合、単にその地域の開発が採算があうかを考えるのではなく、吹田市全域にとってどのような影響があるかを考えるべきです。あるいはインフラ整備には多額の市税をつぎこむのですから、税金の使い道として、それが、もっとも適切な市税の支出であることを説明できなくてはなりません。市長が開発をする、と発言されるまえに、そのような調査や検討を行ったのか、どのような方法で行ったのかをお伺い致します。

貴重な緑地、あるいは公共の役に立つ場所がマンションになったとして、激しい付近住民の反発があった南千里駅東側のマンション建設について、議会でも同僚議員からの質問がありましたが、私にはどうしても理解できないところがありますので、お伺いいたします。

まず、大阪府の企業局は、民間企業にこの土地の売却を行う前に吹田市に購入意思を確認したはずです。大阪府は意思確認をしたといっており、吹田市は否定していますが、その後、吹田市はその意思確認の有無を明らかにする法的手続をとらなかったことから、その購入意思の確認はあったものと考えられます。買わないという判断をされたのは、最終的には市長ですね。お伺い致します。

この土地は後ほどマンション開発業者に坪25万7千円で売却されましたが、企業局が吹田市に提示した売却価格はいくらだったのかお伺い致します。この金額は当然市長はご存知でしたね。その価格は市場価格と比較して高いと判断されるのか、安いと判断されるのかいかがですか、お答え下さい。

吹田市がこの土地が売却されないように手を尽くさなかったのはなぜですかお答え下さい。また企業局の売却がやむをえなかったとして、一方で吹田市の土地開発公社は、全く同様の土地はないにしても、もっと不便な場所の土地をその数倍の単価で購入しているのに、このような低価格の駅周辺の土地を購入しなかったのはなぜですか、お答え下さい。

市長は、吹田市が購入しなければ、当然この土地はマンション業者に売却されると分かっていたはずですから、マンション開発業者が低価格で土地を入手することを容認して、買わないという判断をなされたのですね。

ここには、明かに市民の利益を犠牲にして、マンション開発業者に便宜を与えたという構図が見えます。この構図を否定するためには、市長は大阪府からの意思確認がなかったことを証明するしかありませんが、市長は、単になかったなかった、と繰り返すだけで、大阪府にその点を認めさせていない。この点を市長はどのように釈明なさるのか、お伺い致します。

次の項目からは、短く質問しますから、回答も端的に短くて結構です。

ビジネスインキュベート施設を江坂駅から徒歩10分も離れた住宅地につくるという決断をされたのは、最終的には市長ですね。こんな駅から遠い場所に施設をつくり、メインは若干家賃補助をするというだけで、新規ビジネスが立ちあがるとお思いですか?施設の場所の選定が不適当だったと思われませんか、お伺い致します。

吹田市の貴重な歴史民家である西尾邸を近々吹田市が管理する事になることは市長はご存知でしたね。どうして、そのすぐそばにある気比邸を吹田歴史文化まちづくりセンターにしたのですか、すぐに二重投資になると考えが至らなかったのですか、それとも分かっていてやったのですか、その理由はなんですか。

千里山・佐井寺図書館の設計は、どうしていままで図書館を設計したこともない設計会社の支社が担当することになったのですか。設計の良し悪しは建築家の能力にかかる部分が多いのに、どうして図書館を設計したことのない担当者におまかせしたのですか。それが結果的に付近住民の不安と不満を招くことになったとは思われませんか、お伺い致します。

市長は、乳幼児検診の個別化により、障害児の発見が遅れるケースが多いということをしって検診の個別化を進めたのですか、知らなくてやったのかどちらかをお伺い致します。

市長の父親が所有するビル内の充分な施設がない空き部屋に、街角デイハウスをつくるということで、実績のないNPOが家賃等の補助を申請したケースがありました。補助を与える予算が組まれましたが、議会の反対で予算修正がなされました。このNPOは結局デイハウスを運営されませんでしたが、この補助金を出すという予算組みには市長も関与されたのですか、お聞かせ下さい。

市長が低公害車でということで更新された市長車の購入価格は 656万円であったとお聞きしていますが、この価格は現在の財政状況のもと適切だったとお考えですか、お答え下さい。

都市計画審議会のなかで、山田駅周辺整備事業に関する容積率の緩和が審議された際、事務局は総合設計制度が適用されることを説明せず、容積率が審議され、そのあとで、この適用が説明されたことは適当であったと思われますか、ご回答下さい。

旭通り商店街の商業基盤整備助成において、委員会審議のなかで、道路上の駐車スペースをもっと確保するように多くの委員から指摘されましたが、この意見は整備に反映されましたか、お伺い致します。また、この基盤整備と、歴史文化のまちづくりがリンクされなかったのは返す返すも残念ですが、市長はどのようにお考えですか。お伺い致します。

100人委員会で提案された内容は、単なる提言書なのか、市政にどのように反映させていくのか、また議会との関係をどのように位置付けるのか、よく考えた上で、100人委員会の事業を行われたのですか。私は市民参画の機会を拡大しようとしたことそのものについては高く評価し、あるいは担当された職員、あるいは委員のご努力には敬意を表するものでありますが、システムとして非常に未完成なものではなかったと思います。100人委員会に参加いただいた市民の多くが失望したとおっしゃっているのには、理由があると考えます。回答は結構です。これで一回目の質問を終わります。

2回目の質問を行います。
市長は先ほどから引用させていただいている資料の中で、国立国際美術館の建物について、イベント用の建物でかなり老朽化しているといわれています。

しかし、私はこの建物を設計された川崎清先生から直接、この建物は万博の終了後も使用する目的で設計したもので、阪神淡路大震災でも全く傷まなかった。南海地震がおこっても大丈夫だ、とお聞きしました。市長はこの建物がこの建物をイベント用の建物だ、と述べられているのはあきらかに嘘です。

ごみ処理の関係についてもう一言言わせていただきます。昨日同僚議員の質問に答えて、環境部長から、事業系ごみに含まれる紙ゴミの割合は、10%であるという答弁がありました。しかし、環境部がだされた、吹田市廃棄物減量基本計画には、事業系ごみには紙ゴミが39%、約四割含まれているとはっきり書いてあります。それがいつのまに、1割になったか聞いてみると、野菜くずと一緒に出されるダンボールはリサイクルできませんから、紙ゴミから除きました、と仰る。これは最初からリサイクルなどするつもりがない人の言葉ではないですか。

私が政治家になりたい、と思った事件が二つありました。一つは薬害エイズ事件、もう一つがダイオキシン問題でした。どちらも経済優先の社会の中で人の命が奪われていった事件で、私は心の中に耐えがたいきりきりとした痛みを感じました。これはどうにかしなくてはならない、社会を変えたいと願いました。

今日私は吹田市について同じように感じています。この地球は今、二酸化炭素による温暖化により、破滅の危機にあります。私達にはそれを何とかしてくいとめ、子供達が生きていける環境を残す責任があります。ところが35万市民の30年間のゴミの処理方法が、市民にはまったく情報を開示されないまま、事業系ごみの紙ゴミの分別さえ視野に入れないでつくられようとしています。これは全く私達の子供達の命を奪う行為です。

梅田貨物駅の吹田市への移転についてもそうです。大企業には移転をさせたい理由はさまざまあるでしょう。しかし、新御堂を含め、道路脇の人達にとってディーゼル車がくることは、いのちが危険にさらされることです。そんな人達を守るのが吹田市の責任なのではないですか。 人は亡くなる時、宮沢賢司の言葉によると、思い残し切符をのこしてゆく、未来に希望を托してゆく、この思いはいのちが形をかえたものです。万博記念公園の文化施設には、日本人の限りない思いが託されている、これを壊すこと、これは人間の命を踏みにじる行為です。

私は、この人間のいのちが踏みにじられる現実を見て、なんとしてもこの吹田市政は転換しなくてはならないと強い思いをかんじます。これが私の4年の議員生活の答えです。四年間皆様本当に有難うございました。

 

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