◆ 吹田市議会における質問(1999年12月議会個人質問)

民主市民連合の山口克也でございます。本議会は1900年代最後の年を締めくくる議会であるということで、この百年をふりかえり、また来るべき2000年代を見据えて、我々が、この100年間に得た教訓をどのように次代に伝えていけばよいかという視点で、教育問題についての質問から始めさせていただきたいと思います。

1900年代を振り返り、大変な試行錯誤をへて、人類が得た最大の教訓は、戦争を行う事、また一つの民族が他の民族を武力で制圧することは、勝者にとってさえ望ましい結果をもたらさないということでしょう。民主的な方法で運営されるいかなる政府も、国民生活に与える打撃を考えた場合、自国内に影響が及ぶような戦闘を行うという決断はもはやできません。

それにくわえて、国際交流が活発になり、スポーツ、文化、学問などの交流を通じ、世界中の人達が、民族、国家を越えて、人類が同じ心を持ち、お互いに理解しあえる存在だと思えるようになったこと、また過去の民族対立や戦争があまりにも多くの悲劇を生み出したという記憶が、戦争は決して行うべきでないという認識を生んでいます。私は吹田市におきましても、先の大戦における、日本の敗戦や加害者意識に拘泥することなく、世界のほとんどの国が、それぞれのもつ、忌まわしい過去を精神的に乗り越え、平和を希求する国家を作り出したのだということ、そして世界に広がる、平和を求める思いこそが世界平和を支えているということをしっかりと教育していっていただきたいと思います。

我々が得たものの二つ目として、私は科学技術を挙げたいとおもいます。長い生命、長い余暇、豊かな物質文明。これらはすべて、今世紀における科学の進歩によってもたらされたものです。日本の限られた国土の上に多くの人が豊かな暮らしを営むことができるのは技術の発達の恩恵であります。私たちはこの技術力を20世紀が私たちに与えてくれた大きな遺産として次世代に伝えていかなくてはなりません。そこで重要なのが科学教育、技術教育をどのように行ってゆくかです。バブルの発生以降、文系の進路選択者が増え、理系の学科にすすむ学生の数が減ったということが、大変大きな社会問題になりましたが、この不況の中で理系選択者が増えたという話はまだ聞いておりません。逆にメーカーのリストラの嵐の中で、多くの技術者が職を失い、企業における技術の蓄積がどんどん減少しているというのが実態ではないでしょうか。吹田市では、小学生、中学生が、将来理科系の進路に進むことができるよう、どのように科学教育に取り組まれているのでしょうか。これは単にコンピューターなど情報機器の操作の教育にとどまらず、生物、物理、化学、自然環境、宇宙など科学技術一般に対する興味をどのように育てていっているのかということを質問させていただいております。今後人類は、人間自身が作り出した地球環境の激変という事態にたちむかわなくてはなりません。高いレベルの科学を発展させる人達、そして、それを支える産業技術を守る人達、こういう人々をどう育てていくかという視点から答弁をお願いいたします。

今世紀で人、特に日本人がなくしたものは、一番は良好な自然環境だとおもいますが、二番目として、私は共同体のモラルを挙げたいと思います。

この百年間で人間社会を大きく変えたのは、農村社会から、都市社会への転換でした。第二次大戦終了時には日本の人口の5分の3は農村に住んでいました。それが現在では日本、アメリカを始め先進国のすべてで5%未満に減っています。農村社会では住人が共同体の絆で結ばれ、人間関係の煩雑さはあったものの、相互の扶助関係が存在していました。都市は人々を農村共同体の束縛から解放することにより、豊かな労働力を産み出し、同時にさまざまな文化を育ててきました。しかしピーター・F・ドラッカーの言葉を借りれば、都市は都市独自の共同体を提供できなかったがゆえに破壊的でした。人間は共同体を必要とし、もし建設的目的のための共同体が存在しなければ、破壊的で殺人的な共同体が出現する、というドラッカーの言葉は、オウム真理教の発生を始めとする現在の日本の精神的混乱をよく説明しているとおもいます。

私には、家族の絆や、かっての農村共同体がもっていたような互助の精神を回復させることが、子供達の精神を育てるために必要なのではないかと思えてなりません。少子化問題一つをとってみても出生率の高い地域には地域で子供を育てるという風土が残っているという話をよく聞きます。様々な伝統的な倫理の中で、現代にあわないものは削除し、残すべきものはしっかりと伝えるという作業が必要だとおもいます。吹田市では子供達に、家族のありかた、子供を育てるということ、地域での相互扶助について、どのような教育を行なっていらっしゃるのかお答えいただきたいとおもいます。また地域によっては自治会、子供会のない場所があるということもお聞きしています。吹田市として、このような地域への対応もふくめ、地域活動の活性化にむけてどのような取り組みをしていらっしゃるのかお答えください。

そして、2000年代にむけての教育という質問の最後に、市長に2000年代を生きる子供達にこの地域でどのように生きていってもらいたいと考えていらっしゃるかをお聞きいたします。今後企業社会を生きる人々の比重がへり、地域で生きる人々が増えるでしょう。そんな時代に、そこに生きる人達がどのように生きていることを、市長として期待されるか、お聞かせください。

次に、都市の必要とするインフラは、時代により変化するという観点のもと、吹田市の情報・文化インフラについてお伺いいたします。

まず吹田市は、今後とも住宅都市と商業都市の二つの顔を持ち続けるであろうと思います。

まず、産業の振興という面で見てみますと、吹田市にはアサヒビールや南吹田の工場群などもありますが、江坂の情報関連の企業の集積には目覚ましいものがあります。東洋情報システム、SNKをはじめ、情報関連の企業が大変増えてきております。江坂を先進企業の集まるビジネス街、また東急ハンズを中心とする商業地として、発展させていくことは、市財政の運営という観点からも必要なことです。これらの吹田に立地する企業にとっては、都市の情報インフラが大事です。最近では吹田ケーブルテレビがインターネット事業を始めたことが、企業にとっても大変便利になったという評価もありますが、さらには光ファイバー網があればより便利だなどという声も聞こえてきます。吹田市がビジネス立地として大阪市や周辺他市に比べて優位性をもつにはどのような情報インフラが必要なのか、吹田市として研究されたことはあるのでしょうか。お答えいただきたいとおもいます。

江坂企業協議会などで、何度も提案されている江坂FMについては、都市経済にあたえる影響を吹田市としてはどのように考えられているのでしょうか。周辺商業地との差別化、また公共の電波の周波数という限られた資源の確保、災害時の情報提供など、江坂FMのメリットは大変大きいと考えます。吹田市が財政危機のなかで、新たな事業にふみだすことは難しいという現状は理解できますが、お金が使えないのなら、頭をつかい、足をつかって、江坂という吹田市の貴重な財産を活性化する方法を、江坂企業とともに考えられてはいかがでしょうか。江坂企業協議会、エスコタウン商店会においても、江坂FMについての研究会が始まるそうですが、今後どのような形で協力していくご予定なのかお聞かせください。

次に住宅地としての吹田市のインフラについて考えてみたいと思います。住宅地として重要な静謐な環境、福祉施策につきましては、吹田市は従来から周辺都市に勝るとも劣らないインフラを作り上げております。吹田市が、今後住宅地としての都市間競争を生き抜いていくためには、吹田市を、他の都市と明確に区分する文化インフラをつくる必要が有ります。吹田市に位置する各大学、そしてメイシアターは吹田市の文化レベルを大幅に引き上げてきたといえるでしょう。また吹田市におけるガンバ大阪の存在も吹田市を他市と区別する大きなインフラになるでしょう。今後はこれらの文化、スポーツのインフラを、市民がより楽しみ、また参加できるように、吹田ケーブルテレビの番組構成や吹田市の広報活動においての配慮が必要になってくると思われます。例えば、先日メイシアターで行われた吹田コンクールなども吹田の貴重な文化資源であると思いますが、ケーブルテレビでは全く放映されていませんでした。またガンバ大阪の報道もまだまだ少ないと思います、この点についての理事者のお考えをお聞かせください。

次に太陽の塔美術館構想についてご質問いたします。吹田市と他市を区別する最大の文化インフラが万博公園内にある太陽の塔です。この太陽の塔を基本コンセプトとした美術館をもし吹田市がつくれるのなら、それは吹田市のかけがえのない財産になるということで
、吹田市がいくつかの調査をされていることは存じ上げており、私も民主市民連合の同僚議員とともに岡本敏子様にお会いしたり、万博記念協会にヒアリングにいったり、川崎市の岡本太郎美術館を見学したりいたしました。そのなかで痛切におもいましたのは、美術館の建設は、地域の美術にかける情熱を結集する一大プロジェクトであり、多くの人々のエネルギーを必要とする大変な事業であるということでした。また一方でそうであるからこそ、美術館は地域の誇りとなり、この地域を他の地域と差別化する最大のインフラになると感じました。美術館は収蔵する作品がなければなりたちません。この点に関しては、市長と議会、そして市民が一体になって願えば、岡本太郎という大芸術家の作品を展示する美術館を吹田市がもてる可能性があるということが、調査できております。
市長、太陽の塔美術館はここ数百年の北摂地域における最大の文化インフラの一つになるとおもいます。吹田市でプランをつくり、周辺市や大阪府、国、また地域の企業の参加を呼びかけようではありませんか。出来なくてもしかたがない、吹田市にお金がないときこそ、吹田市の頭脳と、情熱と、そして足をつかって、このプロジェクトの可能性を探ってみるべきだとおもいますが、市長のお考えをお聞かせください。最近万博敷地内にある、国立国際美術館の方が吹田市を訪問されて、吹田市に、国立国際美術館の跡地の利用について打診されたともお聞きしております。今こそ検討を開始すべきときだと思います。

続いてゴミ処理問題について、生ごみ処理と、焼却場からの排水中におけるダイオキシンの対策という二点について質問をいたします。

先日私は、環境事業部の方と一緒に、大変優れた新しい生ゴミ処理機を視察してまいりました。この生ゴミ処理装置は、バクテリアを使って生ゴミを二酸化炭素と水だけに分解してしまう装置で、各自治体のごみ処理に革命的な影響を与える可能性が有ります。

従来の生ゴミのバクテリアによる処理は生ゴミをたい肥にするというもので、たい肥が市内で消費されるよりも大変多く発生するために、二次処理の必要がありました。しかし、この生ゴミを二酸化炭素と水だけに分解し消滅させてしまう機械はこのような問題もないうえに、ゴミ処理に関する費用も焼却にかかる費用の10分の一以下ですみ、大変経済的です。まだ自治体でこの装置を本格的に導入したところはないようですが、たくさんの企業が競ってこの技術を使用した製品を販売し始めたようです。

吹田市の可燃ゴミに占める生ゴミの比率は約30%、プラスティックゴミは20%、紙ゴミが40%、その他ゴミが10%とお聞きしております。生ゴミについてはこの技術の導入で、環境にもっとも優しい方法で処分し、プラスティックについては、ダイオキシン対策のため、とりあえず当面は圧縮して容積を小さくし、うめたてるなど、焼却によらない処理を進め、紙ゴミのリサイクル率を高めると、吹田市が焼却するゴミの量は極端に少なくなります。ゴミ焼却炉新設についての考え方を根本的に転換することが可能だと思いますが、市長のお考えを伺います。

次いでダイオキシン対策についてお聞きいたします。

中央環境審議会は2000年1月から施行されるダイオキシン類対策特別措置法に関する排出基準の答申を行い、一般焼却場の排水中におけるダイオキシンの排出量を一リットルあたり10ピコグラム、暫定値として、50ピコグラムという基準を示しました。吹田市の北工場からの排水は、このダイオキシン量の基準をクリアできるのでしょうか。従来のダイオキシン量測定結果に基づいて御答弁下さい。

また前議会からこの2ヶ月において、環境事業部がダイオキシン対策について、とくにプラスティックゴミの処理についてどのような調査、ヒアリング、何でもよろしんですけれども、をされたか御答弁いただきますよう宜しくお願いいたします。

最後に吹田市がこの財政危機をどのように乗り切って行くかについてお話を伺いたくおもいます。決算委員会記録を見させていただいておりますと、吹田市の財政健全化計画は、来年の9月から10月にかけて作り上げて議会に報告されるとあります。私は財政健全化計画作成そのものにはそのくらい時間がかかるだろうとは思いますが、景気の回復、市税収入の回復が期待できない今、一日もはやく、吹田市の財政の危機的状況について議会や市民の皆さんに対して報告をしていただきたいと思います。情報の公開によってこそ、財政健全化に向けて衆知を結集することが可能です。理事者のお考えを伺います。平成12年度予算についても、財政健全化計画とは別に今出来る限りの対策を盛り込む必要があります。特に吹田市が購入している資材やサービスの価格については大幅な見直しが必要です。市場価格は驚くほど低下しているのですから、市民の税金の無駄遣いにならないよう、きちんとした管理が必要だとおもいますが、予算作成にあたり、各部に今どのような指示がなされているのか、お答えいただきたいと思います。

また投資的経費の削減ばかりでなく、福祉の見直しや、議員をふくめて職員の給与水準の引き下げも議論すべきだとおもいます。大変残念ながら、日本の殆どの自治体は準用再建団体突入の一歩手前にいます。もし吹田市が準用再建団体になると、国基準を超える事業や吹田市独自に実施している事業は廃止され、市民に対する大幅なサービス低下が起こります。この事態は何としてもさけなくてはなりません。吹田市に関るすべての人々が痛みを分かち合い、本当に必要な市民サービスを守っていかなくてはなりません。

この作業は単に費用を切りつめるというものではありません。この財政状況のもとでも吹田市政は社会の変化に対応し、新たな時代の要請に的確にこたえていかなくてはならないのです。市の職員の皆様は、この財政状況に臆することなく、お金の使えないときには、頭と足を最大限につかって、市民のために必要な施策を一歩一歩積み上げていっていただきたいと思います。これで質問を終わります。

 

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