希望を生み出すもの、“教育”の現状

私たちが未来に残さなくてはならない最も大切なもの、それは次世代という希望です。幸いにして、日本の学生の数学・理科の学力水準は諸外国と比較して遜色のないものですが、その力は個々の家庭の涙ぐましい努力によって支えられていることが分かりました。

 経済協力開発機構(OECD)の調査によると、GDP比の教育予算は日本がOECD加盟28ヶ国中最下位です。2007年の日本の教育への奨学金を含む公的支出はGDP比3.3%で、日本の2000年の3.6%からも減少しています。1位のアイスランドは7.0%、二位のデンマークは6.6%で、日本は加盟国平均の4.8%を大きく下回っています。日本は特に大学など高等教育への支出が低いという結果になっています。教育への私費負担の割合は日本は33.3%で、OECD平均の17.4%を大きく上回り、他の先進国と比べ、教育費は個人の家計に依存し圧迫する形になっています。“子供を持つと教育費の負担が大変だから子供は持てない”という若い人たちの感覚は、まさにこの事態を反映しているといえます。

 教育の場において子供たちが大切にされていない、という事態は吹田市でも同じです。一つの例ですが、校舎の耐震化率にそれが表れています。文部科学省の調査によれば、日本平均の小中学校の校舎・体育館の耐震化率は平成22年に73%ありました。ところが、吹田市ではこれが43.9%で大阪府平均の耐震化率さえ下回っています。また、学校における図書の充実という面からみると、吹田市は豊中市など近隣市よりはるかに見劣りします。これは8年前にも私がかなり強く申し上げていたことですが、いまだに大きな改善は見えていません。このように日本・吹田市の教育は制度という面からみると大きな改善の余地があるのです。希望は、このような制度のもとでも、各家庭で、お父さん、お母さん、個々の先生方が、子供の教育に力を入れて下さっている、という所にあるようです。