中国に気持ちで負けてはならない

日本人に希望が感じられない理由の一つに、近年の中国や韓国の急激な経済的発展があると思われます。日本が成功した輸出主導の経済発展を、人口がはるかに多く、賃金の安い中国が今後も続けるのです。もう日本の出る幕はなく、今後も日本の衰退は続くと暗い気持ちになる方もいらっしゃるでしょう。しかし、私は日本を中国を比較して一喜一憂することには意味がないと思います。なにせ相手は、日本の国家が生まれる千年も前から高度な文明を発展させた偉大な国なのですから。(もちろん偉大な国は他にも沢山ありますし、日本も偉大な国です)

日本は、他国の優れた部分を素早く学ぶと同時に、規模を求めるのではなく日本の先人たちが育ててくれた多くの独自性のある文化や技術を大切にすれば、世界の中で果たすべき役割はいつまでもあると思います。日本の文化の中には、多くの人間の自由な精神と創造性の発露が見られ、それは他者と比較する必要の全くないものだからです。まずは極端に進みすぎた少子化を食い止め人口減少に歯止めをかけること、そして、まだ生まれたばかりの日本で大国に精神的に屈従しないように闘った先人の努力を思い出し、プライドを持つことが大切です。

 昨年の上海万博で、大阪ユネスコ協会が日本館で行った「日本文化交流祭」に会員として参加してきました。上海万博は見事なものでしたし、上海の発展、美しい夜景には目を見張りました。まちづくり、観光の面において日本が学ぶべき点が多々あると思いました。しかしながら、上海と同じものを日本が追い求める必要はなく、日本が追い求めるべきは、もっと自然と人間の距離が近い、別の形の文化、文明なのではないかという気持ちも浮かんでまいりました。