市民の皆さんこんにちは。

今回の吹田市長選挙では、多くの市民のみなさんに支持していただいたにも関わらず、政党間の争いに見える選挙の中で、私の国循・市民病院の吹操跡地への移転に関する主張が埋没し、皆様の思いを当選に繋げていくことができず、本当に申し訳ありませんでした。

一方、私は今回の選挙の結果により、国循の移転を進めたい側が移転について何らかのお墨付きを得たと考えるとすれば、それは大きな誤りだと感じています。それは、今回の選挙の中で推進を進める側の三人の候補は、両病院の吹操跡地への移転の正当性を何一つ主張することなく、私の論戦に対して、何一つ反応しないという対応を取り続けたからです。

どの政党の推薦も得ていない私に対し、多くの組織を傘下に持つ政党が複数集まって選挙で勝つことは簡単なことだと思います。しかし、私がこの選挙にわざわざ立候補したのは、公の場所において本当にこの移転が適切なのかを議論したかったからです。各候補は私が投げかけたさまざまなこの事業に対する問題点の指摘に関し、推進の立場から真摯に反論しなくてはならなかったと思います。そうでなければ、民主主義が存在する意味がないのではないでしょうか。

さまざまに分かれる民意を集約するために選挙があるのだから、勝った方が、その主張する政策を一方的に実現できるのだ、というのは民主主義の意味をあまりにも狭くとらえています。経済的に豊かでもなくなり、マンパワーも不足していく日本において、不効率な事業を行って良いはずはありませんし、それに加えて今回私が提起したのは、千里ニュータウンなどの街の形を崩してもいいのか、という「良いものは守らなくてはならない」という主張です。その点について、「私がいないかのように、私の主張に対して聞き流す」という選挙を行うことにより、なんらかの答えがでたとするのは、吹田、日本の社会にとってあまりにも大きなマイナスでしょう。

私は、もう公人でなくなりましたので、これからは吹田市の情報も入ってきませんし、移転問題について関わっていけるとは思いませんが、これからの市の運営は、これまでの延長線上で行うと、まちづくりにおいても、財政面においても大変なことになります。折角、井上、阪口という強い力をもった二人の政治家が外れたのですから、市の職員の皆さんや後藤新市長には、慎重の上にも慎重に今後の政策を考えていただきたいと思います。

今回の問題について、抽象的に話すとこのようになります。社会的に価値のあるものが存在する時、それを守ろうという活動では、何のお金も動きません。しかしながら、それを壊して、同じものをもう一度作ろうという活動は、大きな経済活動になりますし、それを行いたい人の数も多いので、数による政治を行うと、必ず壊して作る側が勝つのです。しかしながら、現在の日本ではこのような馬鹿げた事をしている余裕はないはずです。

さらに今回の具体的な例では、守るべき「国循のある千里ニュータウン」のまちの形は他に例がないほど貴重なもので、一方作ろうとしている「医療クラスター」は建物は美しいかもしれませんが、医療機関の連携や街づくりという意味では、無意味な存在なのです。

もう一度繰り返しますが、今回の選挙で当選された市長・市議の皆さんは、この問題から目をそらすことなく、吹操跡地ではなく吹田市全体として最適な街が作られるように御努力下さい。それが市民から信託を得た皆様の義務だと思いますし、また、この点につき私が何かお手伝いできることがあるのであれば、いつでも出かけて行く用意はあるということを申し添えさせていただきます。

急な暑さとなりました。私は地球温暖化の研究などに戻りたいと思います。また、皆様に報告できるような成果を上げたいと思います。それでは、吹田市からはしばらく失礼をいたします。またお目にかかれることを楽しみにしています。