YouTube  New Scientist チャンネル 気候変動に希望を持つ方法


出演者 ケイト・マーベル (著書 Human Nature)
    ティム・レントン (著書 Positive Tipping Points) 

(部分)
(司会者)
ティムさん。あなたの著書には、グレタ・トゥーンベリさんが主導した、気候運動のための学校ストライキについて書かれていますが、これは気候運動のための抗議運動の波と同時期にイギリスで起こったもので、その後、イギリス政府は国家の気候変動目標を改善しました。地方議会も気候緊急事態宣言を行いました。ですから、ある種の勢いの波があったものの、それが今ではいくらか消えてしまったように感じます。あなたの本で語られている転換点の一つとしてのこの事態は意味ある変化をもたらしたと思いますか?それとも行動を伴わない単なる話だったのでしょうか?

(ティム)
調査結果を見れば確かに意味のある変化があったと確信出来ます。データがかなり良い英国に焦点を絞ると、英国の高齢者層では、気候変動は深刻な問題であり、私たちはそれに対して何か行動を起こすべきだと考える人が3/4以上もいました。アメリカでは残念ながら、まだ高齢者の半数が、気候変動は現実でない、あるいは人間のせいではない、あるいは心配する必要はないと考えています。ですから、イギリスにおいては、この学校ストライキについては、ケイトや私や多くの気候学者よりも効果的に一般大衆の理解と認識を変えたのです。もちろん、気候科学、私たちの研究を基礎としてですが、感情をこめ、なぜそれが重要なのかを表現する決意を込めたのだと思います。ご存じの通り、この抗議運動は、他のあらゆるものと同様に、パンデミックの中で継続することができなかったのです。

しかしながら、私たちは、これが物語の終わりだと思っていません。気候問題に関しては、世界中で熟議型民主主義、あるいは審議型民主主義(議論を重ねることによってより良い結論の形成を目指す民主主義)の台頭を目撃しています。この熟議型民主主義との整合性については議論がありますが、ボトムアップ型の新しい形の民主主義も力をつけてきています。私たちが必要としている変化は下から起こることが多く、つまりビジョンを持ち、理解し、コミットし、感情をつかって変化を推進する、やる気と情熱を持った人々からおこるのです。
イギリスは気候変動法と、政府に責任を負わせる独立した気候委員会と、実質的なネットゼロ目標を持っているといえるでしょう。これらすべては、英国における数十年にわたる環境保護運動と、議員立法から生まれたもので、それが今では公務員組織、政府の機能に組み入れられています。ですから、政府の力により、我々への排出量ゼロを目指す強制が、これからも続くことになります。
(司会者)
アメリカで行われていることについては、ここで話をしないようにしましょうか?

(ティム)
少しだけ触れると、物事が不安定になったとき、化石燃料の現状もそうなる可能性があります。現職者はより激しく反撃をするでしょう。歴史はそれを教えており、現在もそれが教えられています。そして米国で起きている事態以上にそのことを明確に示す例はほかにありません。しかし、私はそれを完全に否定的な兆候として受け取るつもりはありません。より大きなシステムの全体像を把握する必要があると思います。

(司会者)
カリフォルニアを見れば、いまはカリフォルニア単独で世界第六位の経済大国ですが、そこで起こっている気候状況、行政、市民、企業活動などを見ると、ワシントンで起こっていることのせいで太陽光や、風力の転換が止まることはないでしょう。だからまだそこには、希望があるのです。

(ケイト)
アメリカで風力発電が最も盛んな州はテキサスだということはご存じですか?ですから、これらのテクノロジーは本質的に止められないと私は思います。

それから、世論調査を見れば、気候変動は問題ではないとか、人間が引き起こしたものではないと否定するアメリカ人の割合は、一貫して一桁台に留まっていることが分かります。前回確認した時には7%くらいだったと思います。

そして、ほとんどのアメリカ人は気候変動を懸念しており、政府に何らかの対策を求めています。しかし、本当に興味深いことに、世論調査を見ると、ほとんどのアメリカ人は、アメリカ人が気候変動を懸念していないのではないかと考えているのです。(気候変動は重要な問題でないという世論が捏造されているということ)ですから、気候変動に関して個人ができる最も強力なことの一つは、気候問題について人と話をすることだと思います。自分のコミュニティーでそれについて話をすると、自分がそれほど孤立していないと気付くからです。

私は、皆さんに、自分がどういう人間であるかを基礎として、どのように話せば、温暖化について話を聞いてもらえるかを考えてもらいたいと思います。

気候変動について最も恐ろしいのは、それを解決するためには世界中の人の協力が必要だということですが、同時に気候変動に関してもっとも希望が持てる点は、世界中の人の協力でそれが乗り越えられるということです。

(ティム)
私は、読者の皆さんに、一種の非常に恐ろしい、無力感に陥ってほしくないと思います。自分たちに行動する力が与えられていると感じてくださることを願っています。

今の状況は、大きくて、複雑で、世界で起こっている悪いことすべてに対処できないわ、と感じることもできる状況ですが、一方で、私たちには主体性があり、私と私の小さなコミュニティーがもっと大きなことの始まりになると感じることもできます。なぜなら、世界は常にこのように変化しているからです。

(司会者)
主体性と、希望をもって、未来に向かって協力していきましょうということですね。