大屋根リングは全周保全を!少なくともすぐの取り壊しをやめ、慎重に検討を!
皆様 大阪・関西万博が終わり、私も万博ロスを感じている一人です。特に、パビリオンが取り壊されるという報道、大屋根リングの一部が、全国のさまざまな施設やイベントで使われるというニュースを聞くごとに心が痛みます。そして、大屋根リングについて基本は一部保存とされている現状について考えることが多くなりました。
そんな中で、今日、船場経済倶楽部の早朝講演会に参加し、関西担当の特命全権大使、三澤康様の講演を聞いてきました。「万博とは何だったのか?」ということもテーマのひとつであり、興味深かったので、あまり正確ではありませんが、簡単にご紹介します。
まず、万博とは
1 誰も全体像を把握できない、同時多発的国際交流小宇宙である
2 無数のアクターが活動する空間
3 世界中からの要人の受け入れ先
158か国・7国際機関が参加。約160のナショナルデー・スペシャルデー
200以上の代表団が来訪。→首脳クラス約90名、外相クラス約50名。
さらに州首相、市長、議員、企業代表、学長などが多数来訪。
大坂ナオミさんなど、世界的セレブも多数。
4 会場内で沸き起こる「同時多発イベント会場」ビジネスと文化と友情のお祭り
5 人と人の出会いを生み出す起点
そして、この万博の外交的意義として
1 世界とともに「共創」を試みる実験場
(「いのち会議」「大阪ヘルスケアパビリオン」等)
2 首脳・閣僚級との交流の機会
3 ビジネスチャンスの扉を開く、経済外交に貢献
4 大阪が世界に映像として拡散された。市民外交の場
そして「まとめ」的に言うと
1 万博は半年の祭典ではなく、「未来社会の実験の始まり」
2 大阪関西万博は世界最大の外交の場
3 世界の都市住みやすさランキングで、大阪は7位とされたが、
足らないところは、文化・スポーツ・芸術施設
博物館、劇場、音楽ホール、美術館、
夫婦で行けるようなナイトライフが少ない。
万博のレガシーを考えるときこの視点が必要。
4 データで見る万博のスケール
・累計来場者数:2,902万人(関係者除く:2,557万人)
・18歳以下約16%。入場者はすべての世代に広がる。
・海外入場者約6%。国内では近畿が約3分の2。
このご講演を聞いて、私が三澤大使に申し上げたのは、「大使が仰られた通り、すべての人にとって万博はそれぞれ異なる経験でした。しかし、共通の記憶はあります。それは、大屋根リングにのぼり、周りを見渡した風景ではないでしょうか。そこには150か国を超える国々の人たちの多様な文化があり、平和な共存がありました。これが、われわれの望む未来ではないか、という共通の思いを持てました。」
その平和な未来の記憶は、今後とも保存する価値がある。この意味で、この大屋根リングは令和のコロッセオとして、少なくとも30年は残すべきではないか。どうしたら保全ができるかを考えるべきではないか。私はこのように三澤大使や船場経済倶楽部の皆さんにお話しました。平岡龍人理事長も同じ考えであると言ってくださいました。
関西の多くの大学の総長に加えて、万博期間に働かれた各国パビリオンの皆様も、この大屋根リングは残すべきだと声を上げてくださっています。12月から、他の用途に木材をつかうために一部運び出すような報道もありますが、ほかの場所で木材を使う価値と、この大屋根リングを残す価値とは全く違います。会場外に大屋根リングの木材を持ち出すことは、まるで、東大寺や金閣寺や太陽の塔の外壁を切り取ってどこかに持って見せびらかすのと、同じだという感覚が必要だと思います。もし、大屋根リングの全周保存がかなうならば、今材料として一部の木材を使いたいと仰る方々が、それでも使いたいと言われることはないと思います。
私は、吉村知事が万博の最後にされた挨拶のなかで、一つだけ気になった言葉がありました。それは「また、日本で万博をやりましょう!」という最後の言葉です。お気持ちは良くわかります。しかし、今日三澤大使も仰っていましたが、一般的に世界のイベントの誘致は、外務省が忙しくなる、大きな事業で、その中でも五輪と、万博はやりたいところが多くて、なかなか順番が回ってくるものではなく、多くの関係者の協力、ご努力が必要な大変なものだ、という事実があり、知事はそれを深く認識しなくてはなりません。この認識が大事です。万博の記念となるもの、特に今回の大屋根リングのように、世界一の木造建築として万博のシンボルになったような建物は、歴史の証人であり、取り壊すと二度と作れないという感覚が必要です。取り壊す前に、慎重にも慎重な検討をしなくてはなりません。
今回の大屋根リングについては、ネットに出ている範囲では、全周保存の見積もりをした形跡はどこにもありません。慎重に検討したとは思えないのです。
さらに、もう一つ、大屋根リングを残すメリットの計算では、大阪府市の今後の観光都市としての発展に及ぼすプラスの要素を全く考慮していません。私がAIと検討した結果は、全周維持のメリットがコストよりも大きいという結果になりました。
少なくとも、いちど手を止めて、維持保存について再検討すべきだと思います。皆様はどのようにお感じでしょうか?
令和7年11月12日
山口総合政策研究所
代表 山口 克也
