脱原発・再生可能エネルギーに吹いた時代の風

 3.11特に福島第一原発事故は、世界中に大きなインパクトを与えました。特に環境先進国ドイツの対応は迅速なものでした。福島第一原発事故のたった1週間後、ドイツは国内電力量の26%を賄っていた原発17基のうち7基を止めました。そして事故のわずか2カ月半後には2022年までの原発全廃を決定しました。それと同時に、それまでも熱心だった再生可能エネルギーの導入をさらに加速させ、2000年電力消費の6%しかなかった再生可能エネルギー発電量が、2011年後半には総電力量の20%を突破、2012年前半では24%に達し、原子力の17%を大幅に上回るようになりました。この10年強で18%増やしているのですから、2020年までにあと16%増やし、総電力の40%にするという目標を簡単にクリアすると思われます。

 ドイツでは原発関連大手だった総合企業・シーメンスは原発事業からの全面撤退を表明、世論調査も、再生可能エネルギー導入のための電気料金値上げ額が、「妥当」「少なすぎる」を合計して約80%と、エネルギー政策に対し圧倒的な国民の理解があります。これまで、日本でいわれてきた、「再生可能エネルギーは基幹エネルギーたりえない」という評価がいかに誤っていたかが明確になりました。
また、日本では、コストの高い再生可能エネルギーを普及させると電力料金に跳ね返り、産業の国際競争力に影響があるという言説が強いですが、ドイツでは、再生可能エネルギーの拡大は国内の投資活動を活発にし、個人消費を拡大させ、経済成長にプラスであると、ドイツ政府のモデル計量分析で試算されています。
 
 一方日本でも、エネルギー革命が起こっています。再稼働への動きが懸念されますが、現実に殆どの原発が停止しましたし、菅直人前総理の置き土産である、再生可能エネルギー固定買取基本法が本年7月1日から施行されると、僅か2ヶ月の間に、住宅用の太陽光が30.6万kw、事業用の太陽光(メガソーラー等)が72.5万kw、風力26.2万kwなど、合計約130万キロワット、なんと原発1基分以上が、固定価格買取制度の対象として認定されたのです。

 これが、これまでの取り組みとどのくらいレベルが違うかを簡単に言うと、電気事業連合会が2020年までに全国30地点でメガソーラーを行うといっていたのが、合計で140Mワット、すなわち14万キロワット、ソフトバンクが昨年5月に発表して話題になった構想が合計2万キロワットだったわけですから、現実がこれまでの夢を大きく凌駕したことになります。これまでの世界の最大級のメガソーラーは、カナダなどにある50MW(5万キロワット)から90MW(9万キロワット)くらいのものでしたから、こういったものが1年で10個以上、日本に次々にできるということです。いかに日本の事業者が、固定価格買取制度の導入をまちのぞんでいたか、良く分かります。

 さらに、風力発電については、九州大学において、「風レンズ風車」が発明され、従来の風車に「輪っか」を取り付けただけで風車の速度が増し、発電量が3倍になるという画期的な発明が行われました。この風レンズ風車では、バードストライク、騒音、落雷という風力発電の問題点が殆ど解決されていて、今後の風力発電の飛躍的な発展に大きく貢献すると考えられます。このように、日本でもまさにエネルギー革命が進行中なのです。