山口克也のブログ

北極の氷の減少とベーリング海峡ダム

北極の氷がどうして急激に融けているかについて、かっては大気の温度の上昇、風の影響などが大きいといわれていたが、最近の日本の海洋研究開発機構の研究者が、太平洋から流れ込んでいる暖かい夏の水が、北極海の氷を融かしている大きな原因であると発表した。

北極海は、単純にいえば、大西洋側の大きな開口と、太平洋側にはベーリング海峡という大変狭い開口の二つしかない大きな袋のような形をした海であり、そこにシベリア、アラスカ、カナダなどの川から淡水が流れ込み、氷の張り詰めた海を作り出している。北極海の中に、深い方から、塩分濃度が高く冷たくて重い水、大西洋からきた塩分濃度が高く暖かくて比較的重い水、そして、太平洋からきた暖かくて塩分濃度が比較的低い水、一番上に、塩分濃度が薄く冷たい河川水が、層をなして存在しており、その複雑な構造が氷の張る海を作り出している。そしてこの氷が、北極の低い気温を保っていたのだ。

この氷を太平洋からの温かい水から守るためにはベーリング海峡を閉じてやればよいという考えを西澤潤一先生が仰っている。幅100km弱、深さ50メートル、普通に考えればとても閉じられる規模のものではないが、人類の存亡をかけた工事となれば、不可能なものではない。そこで、これを閉じたシミュレーションをいまJAMSTECなどで行なっている。科学的な結論はまだもう少ししないと出てこないだろうが、私は大きな希望をもっている。この北極海氷のアルベド効果(氷が張ると、光を反射してさらに寒くなり、また氷が増えるという効果)には氷河期をもたらす位の力があるはずなので、ベーリング海峡ダムで(効果を)調節しながら海水を流すようになれば最も好都合だ。

ただし、ベーリング海峡閉鎖が有効であるとしても、その付近の環境に与える影響はプラスもあれば、マイナスもあるだろう。環境アセスメントだけでも大変な手間と時間がかかるものになるに違いない。またアメリカとロシアをつなぐのである。世界の人々の心が一つにならなければ、出来る工事ではない。またその工事の費用をどのように作り出すかが問題である。これについては、別に述べる、世界化石資源管理機構が役に立つだろう。