◆平成24年度 予算要望書

吹田市長    井上 哲也 殿
                          みんなの未来
                            山口 克也
                            榎内 智
        

関西広域連合が平成22年12月1日、総務大臣の認可を受け設立された。関西広域連合は現在、広域防災や広域観光、広域産業振興、広域医療など限られた分野に取り組んでいるが、今後は国出先機関の移管を受け業務を拡大していくものと思われる。また、大阪府下においても大阪府、大阪市、堺市を解体し、あらたに大阪都を作ろうとする目論見が進行中である。これらの動きはこれまでの自治体が対応できていなかった広域におけるニーズ、あるいは大阪市内、堺市内においては、より住民に密着した行政への市民ニーズがもたらしたものと考えられる。さらには、日本が地震の多発期に入ったことをふまえ、東京都への首都機能一極集中を避けるため、新たに関西に首都機能を移転させようとする動きがある。吹田市は、これらの動きに対し、適切な要望なり、対応を行っていく必要がある。一方で自らの組織変革についても、より市民の利益に沿うように積極的に取り組んでいかなくてはならない。

市長は「財政非常事態宣言」を行い、行政の維新プロジェクトによって「借金と貯金取崩しに頼って予算を組む」という「赤字体質」から抜け出し、「収入に合わせて支出を組む」財政規律を基本に、抜本的な行政改革に取り組む姿勢を明らかにした。しかし、確かに財政規律を大切にすることは大切であるが、事業見直しにおいては、財政規律を守るという原則と同時に守らなくてはならない価値が沢山ある。事業の持つ歴史的意義、事業に対する市民の信頼、吹田市の未来への可能性、このような価値を無視して、財政規律のみを掲げて事業を見直していくことは決して許されることではない。事業の見直しが財政上やむを得ないとしても、市民への痛みが伴うサービスの削減の前に、まず何よりも徹底した行政改革を行うべきであり、そうでなければ市民の理解を得ることはできないと考える。

そして吹田市の現在の施策についてよく指摘されているのが、厳しい財政改革を行った後の明るい未来ビジョンが見えないということである。我々は吹田市の未来ビジョンの中には、元気な市民、元気な子供たち、持続可能で多様性を大切にするまち、豊かな芸術の育まれるまち、市民間交流、国内都市間交流、そして国際的な市民の交流が含まれていなくてはならないと考える。吹田市で行われた日本万国博覧会、そしてそのテーマ館であった太陽の塔が象徴するのは、まさにこのような明るい未来、未来への希望である。吹田市は太陽の塔を世界遺産化する活動に市として取り組む過程で、市民に明るい未来のビジョンを伝えることができる。

一方、IPCCの地球温暖化レポートをまつまでもなく、我々は日常的に気候の異常を感じるようになった。和歌山を襲った豪雨や、インドネシア、タイの洪水をはじめ、ロシアの極端な暖冬や北極海周辺の温度上昇、中東、西アジア、アフリカ、アメリカ西部、オーストラリア全域の干ばつなど、世界は環境危機の時代に突入した。日本総合研究所理事の足達英一郎氏の表現を借りれば、20世紀が「持つ者と持たざる者との相克の時代」であったとするなら、21世紀は「人類と地球の容量限界との相克の時代」になることは間違いない。気候変動によって災害が相次ぐようになれば、市民の安心安全を守れないだけでなく、自治体の運営も成り立たなくなる。吹田市は何よりも「グリーン自治体」にならなくてはならない。「グリーン自治体」とは単に「再生可能エネルギーを導入する」ことだけを意味するのではない。市の施設の管理、事業遂行の全ての局面に置いて、地球の持続可能性を意識し、自ら変わっていくという態度をとることが大切である。

これらの思いに基づき、みんなの未来は吹田市に以下の予算要望を行う。なお、回答は手短かに端的に願う。

●エキスポランド跡地への副首都機能の誘致を。
●太陽の塔都市宣言を。太陽の塔の世界遺産化に注力すること。
●太陽の塔などの吹田市の文化遺産と、平和都市としての活動を結び付けること。

●福島県などからの避難者を積極的に受け入れるべき。

●事務事業評価、施策評価を継続的に行い、実施計画や予算に反映させること。
●事務事業評価、施策評価の評価が、行政の立場からなされている。事業への市民の参加度合い、参加者の満足度なども評価項目に入れるべき。
●平成24年度に重点施策枠を取らなかったのは問題。厳しく査定し、結果的にはゼロでも構わないが、頭から重点施策枠はないとしたのは適当でない。

●収納率アップのためのプロジェクトチームをつくること。
●職員は吹田市にふるさと納税をすること。

●指定管理者の公募についてはなによりも公正性と透明性を保つこと。事業ノウハウを職員が今後とも把握することと、市民のニーズを職員がサービスに反映させ続けることは当然の要請である。
●事業の民間委託が官製ワーキングプアーを生み出してはならない。

●審議会・シンポジウムを精査し、削減すること。
●審議会委員については、委員の任期満了時に団体推薦枠の数、団体について、その都度見直すこと。

●部局を横断する人事交流を活性化すべき。あるいは、短期間の職員レンタル制度も検討すべき。
●他団体との人事交流を活性化すべきだが、職員間にひがみ、いじめやグループ化が生じないよう十分に配慮していただきたい。
●技能職の人事交流については、各部の活性化のため積極的に行うこと。業務に必要な資格取得の支援など職員の資質向上につとめること。
●非正規職員と正規職員の賃金格差を縮小すると共に民間の給与実態に合わせた賃金水準とすること。
●社会的雇用を維持すること
●職員数の削減と給料・退職金のカットを行い、人件費の縮減を行うこと。

 

●一人当たりスペース、会議室の数、事務機器の配置等レイアウトや導線を意識したオフィス作り、パソコン等の十分なOA機器の配置など、働きやすい職場環境を作り、業務の効率化を実現すること。
●電子自治体の早期実現へさらに努力すること。
●休日の窓口サービスを充実させること。
●市報吹田、議会だよりの発行費用を削減すること。

●北部への第二警察署の設置を大阪府に要望すること。
●犯罪被害者支援をおこなうこと。
●空き交番ゼロ作戦と犯罪多発地域への交番所新設を図ること。

●市内事業者団体との防災協定締結を推進すること。
●全市一斉防災訓練を継続・拡充すること。
●自主防災組織の立ち上げを補助すること。

●再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用して学校に太陽光発電パネルを設置すること。
●各教室へのエアコン導入よりも先に、エコスクール化、校舎のエコ改修をすること。
●熱線遮断フイルムや熱交換塗料を利用すること。
●他の公共事業より学校校舎の改修を優先せよ。そしてデザイン性を向上させること。
●学校のトイレ環境を改善すること。
●学校のビオトープの拡充と管理をすること。
●校舎内の階段の手すりやスロープ、障がい者用便所などの整備を行うこと。
●こどもサポートチーム事業などにおけるSSWの活用を推進すること。
●インクルーシブ教育を推進すること。
●学校支援者として登録された地域の芸術文化関係者の活用を図ること。
●吹田市部活動指導者派遣事業やエス・ネットプランの活用を図ること。
●学校図書館の充実を図ること。
●携帯電話の弊害をしっかりと認識し、小中学校の携帯使用に注意すること。
●自然体験、農業体験、ものづくり体験の積極導入を図ること。
●小中学校での環境教育の更なる充実を図ること。
●不登校児童・生徒への支援を拡充すること。
●中学校給食の全校実施を図ること。
●給食による子供たちの内部被ばくを起こしてはならない。使用食材の産地の公表を。
●小学校施設の放課後開放事業や、太陽の広場の推進を図ること。
●空き教室の地域への開放を推進すること。
●学校予算の柔軟な使用を可能にすること。

●万博記念公園と公園内の文化施設を大切にせよ。
●博物館と小中学生のふれあいがまだまだ。移動博物館について一考を。
●博物館については多くの市民の参加、参画が命。今は館長の力で引っ張られている。年齢のこともあり、次の館長にも素晴らしい人材を得れるよう努力せよ。
●市民プールや体育館は、生涯学習と市民福祉の要である。常にサービスの向上に努めること。ただし、市民プールの数そのものについては削減の余地がある。
●吹田市ではコミュニティースペースが市庁舎付近に偏っている。南千里地域に手薄である。南千里地区センタービル・市民センタービルを取り壊すことなく、コミュニティースペースとして活用せよ。
●豊津西中学校区は、多くの市民が居住する地域であるにもかかわらず市の施設の配備が極端に少ない。6ブロック制のなかで、豊津中学校区に異常なまでの施設の集中が起こっている。6ブロック制にこだわらず、必要な施設は必要として、豊津西中学校区特に江坂駅周辺に児童センターや集会所の設置を行うこと。

●ガンバ大阪に対する支援を行うこと。サッカー専用スタジアムの建設については、本市の財政的負担を最小にすること。
●市内業者育成のため、地元業者への優先発注や、分離・分割発注を行うこと。
●まちおこしのための数多くのイベントがあるが、参加人数、満足度、効果について毎回判定し、内容・開催方法について見直しを。
●商店街を地域インフラと位置付け、「子育て広場助成事業」「ふれあい交流サロン」などで支援すること。
●「あるっく吹田」をHP上で閲覧できるようにすること。
●観光センター利用者数などをチェックし、有効性を精査すること。
●消費生活センターのサービスを拡充すること。

●市民病院はDPC(診断群別分類包括支払い制度)やジェネリック薬品の採用拡大により、経費の軽減を図ること。
●市民病院は、その必要性を検証し、民営化や指定管理者制度による委託も検討すること。

●一人親家庭支援事業の拡充を図ること。
●一時保育、一時預かり保育、延長保育、休日保育、病後児保育の拡充と病児保育の充実を図ること。
●ファミリーサポートセンター事業の拡充を。
●保育料の徴収を確実に行うこと。
●保育所の待機児童の解消を行うこと。
●保育所の民営化を推進すること。

●東北の放射能汚染の可能性のある瓦礫を受け入れない。
●再生可能エネルギーの固定価格買取制度を利用した太陽光発電の導入を行うべき。
●市庁舎などの空調設備のエネルギー効率を調査せよ。
●市役所からの二酸化炭素排出量25%削減の達成を2020年から前倒しせよ。
●事業系ゴミの分別システムを早急に構築し、実施すること。
●レンタサイクル事業については、使用率、採算性などを精査すること。

●南千里地区センタービル・市民センタービルを活用せよ。
●吹田の公共施設のデザイン性の向上を。
●市営住宅の使用料徴収を確実に行うこと。
●糸田川など河川の安定的な整備を行うこと。
●糸田川沿いに歩行者と自転車が安心して歩ける道を整備すること。
●環境再生の視点を織り込んだ公共事業を行うこと。
●耐震診断、耐震改修などの助成制度の周知を図ること。
●上下水道部の統合を図ること。
●雨水レベルアップ事業の有効性を検証せよ。遊水地、ポンプの増強などとのコストパフォーマンスの比較を。

事業見直し会議にかかる予算要望

●高齢者万博自然文化園・日本庭園無料入園事業・はり・きゅう・マッサージ助成とも、市と高齢者を結ぶ心の絆のような大切な事業である。事業見直しの担当者は、高齢者の身体状況と必要性を感じることのできる想像力が必要である。安否確認における必要性もあり、継続を検討すべきである。
●福祉バス運行・貸付事業については、高齢者のニーズの高い事業である。継続すべきである。
●各種安全対策事業については、システム化、機械化により合理化すべき。
●市民会館を含めコミュニティー施設が市庁舎周辺に偏り、南千里地区で手薄である。南千里地区センタービル、市民センタービルを少なくとも今後二十年程度コミュニティー施設として使用すべきである。民間ビルの借り上げは必要ない。
●再生資源集団回収報奨金は、自治会、子ども会等の活動の原資となっていることもあり、また市が他の方法では処理できないものであり、縮小することも不可。
●福祉年金支給事業の今後については市の財政のみを理由にするのではなく、障害者の生活の現状、他の制度変更の障害者生活への影響等をみさだめてから判断すべきである。特定疾患者給付金支給事業、重度障害者タクシー料金助成事業、日中活動重度障害者支援事業についても同様である。

                                以上