Session 2 気候変動
山口克也 要旨

2015年12月に採択されたパリ協定は、人類が、科学や、感情・文化・宗教という思考の側面で深く共感しあって合意に至ったものです。しかしながら、経済の側面では調整がついておらず、現在各国が提出しているNDC(国別GHG排出削減目標)では、パリ協定の目標を達成することは困難で、さらには、今後のNDC積み増しも困難な状況です。今後、化石資源の使用量が減少した際に、化石資源産出国の経済をどうやって維持するのか、あるいは、発展途上国の温暖化の緩和・適用のために必要な資金をどう作るのかも見通しがたたず、足元では各国の企業や個人の行動にゼロカーボン目標が浸透していません。ここでは、これらの問題点を解決する手法を、地球システム工学と環境経済学から提案いたします。

問題解決のために必要なのは、①人間がこれまで以上に省エネ・効率化を進め、森林の再生などを行うこと②再生可能エネルギー供給システムをつくること③北極発の急激な温暖化を止めるためのベーリング海峡ダムを作ること④ゴミの焼却をストップし、有機廃棄物を炭化して環境中に固体で止めること⑤世界一律のカーボンプライシングを可能にし、地球温暖化対策に必要な資金を作り出す、世界化石資源専売公社をつくることです。

②の説明から入ります。ブルームバーグNEFやREN21などの資料にあるとおり、世界の大多数の専門家が、世界が自然エネルギー社会に移行することが可能だと考えており、そのために必要な、世界中の送電網を結ぶネットワーク、グローバル・エナジー・インターコネクション(GEI)が、GEIDCO(Global Energy Interconnection Development and Cooperation Organization)などにより構築されつつあります。これによりエネルギーがすべて再生可能エネルギーで供給される社会が生まれます。

③ベーリング海峡を通り、太平洋から北極海に流れ込んでいる暖かい海水が、北極海を覆っていた海氷を融かし、夏季の海氷面積は、1980年代の半分にまで減少しています。白から黒に変わった北極海が、太陽光を吸収し、急激に温暖化し、気候に大きな影響を与えています。ベーリング海峡は比較的、浅く、狭く人間の手でもダムが作れる場所です。早急にダム建設に着手し、南からの温かい水をコントロールしなくてはなりません。各国も調査を始めています。

④現在大量のプラスティックゴミが行き場を失っており、海洋に流出し、環境汚染を引き起こしています。今後プラスティックの多くを自然分解可能な素材に変えることは難しく、また他の有機物と混ざり合った複雑な組成のプラスティックゴミをリサイクルすることも難しいのです。さらにはこれを焼却すると、地球温暖化をさらに加速してしまいます。一方この問題を解決する、有機廃棄物の炭化システムが存在します。現在有機廃棄物の炭化には経済性がないので、この機器の導入が遅れていますが、ここに補助金を出すことにより、プラスティックゴミの炭化と、陸上処理を進めることができます。

⑤ ③、④に必要な費用も含め、地球温暖化対策に必要な資金を作り出し、世界中でカーボンプライシングを行って、二酸化炭素の排出量を削減するためには、世界的な化石資源の専売公社をつくる必要があります。この公社の存在とカーボンプライシングにより、各国のGHG排出量削減が順調に進み、化石資源保有国の経済の崩壊を防ぐこともできます。世界の崩壊を救い、平和と幸福を生み出すための決断です。是非宗教者の立場から、これらをG20の議題に挙げていただけるよう、宜しくお願いいたします。

 

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