◆ 吹田市議会における質問 (平成23年7月議会質問)

皆様おはようございます。みんなの未来の山口克也でございます。会派を代表し質問をさせていただきます。

この四月の統一地方選挙において井上新市長が当選されました。本当におめでとうございます。市長が交代され、役所内の雰囲気も大きく変わったと聞いております。本議会に提出された施政方針に示されました通り、市長は吹田市の行政を大きく変えていかれようとしています。しかしながら一方で市長は阪口前市長を支えた二人の副市長をそのまま登用されております。そこで私はまず、阪口市政を簡単に振り返り、問題点をお示しするところから始めようと思います。

阪口市政の特徴は、なによりも市民参加を大切にしたこと、そして市民からの要望をうけた多くの事業を実現したことでしょう。日本経済新聞社による全国市区の行政サービス度や行政革新度、市民参加度の調査において吹田市が高いランキングを誇ったのも、阪口市長のこの方針によるところが大きかったと思われます。しかし一方、阪口市政への市民の評価は必ずしも高いものでありませんでした。市民は市民参加によって作成されたさまざまな市への提言が、現実の市政に反映されていないと感じていました。また、規模の大きな事業については、市民への情報開示さえ行わず、密室における決定がなされていると感じていました。さらには、市長が自らの信念に従ってではなく、市長を応援する一部の利害関係者の声に従って市政運営を行っていると評価していました。それが結果的に今回の阪口市長の退陣と井上新市長の誕生をもたらしたのです。

限られた予算の中で、市民の要望をすべて実現できるわけではありません。また、市民の要望はしばしば相矛盾し、吹田市は自らの責任でいくつかの要望のうちの一つを選ばなくてはならないときがあります。そんな時に、市民を真に納得させるのは、市長のしっかりとした政治哲学であり、市の未来に対するビジョンなのです。私はなによりも吹田市の市民が市政に対して信頼感をもてるように、井上市長にすぐれた政治哲学を持つ市長になっていただきたいと思います。

そのために、まず市長に吹田市に存在するさまざまな先人の思いを引き継いでいただきたいと思います。これまでの市民活動でつみかさねられた市民の思い、市の制度の中に現れた福祉への思い、そして街の形のなかに表れている、街づくりをされた方々の思いを受け止めていただきたいと思います。たとえば、千里ニュータウンの中にたたずむ時、私たちは50年前まで日本に存在しなかった、多くの人々が近代的な生活を共同で営む街をつくる、という事業にかけた先人の情熱とプライドを感じ取ることができます。快適で美しい街をつくろうとした先人の思いを受け止めることができるのです。

そして同時に、市長には、なによりも今生きている市民の生命と健康そして生活を深く大切に思っていただきたいと思います。具体的に、個々の市民の要望がたとえ実現できなくても、市長がその方々の幸せを心の底から願われた判断を積み重ねられれば、その思いはきっと市民の皆さまに届くと思います。市民の要望を沢山実現しながら、結局幅広く市民の心をつかめなかった阪口前市長と同じ間違いを井上市長にはおかしていただきたくないのです。市長の政治哲学をお伺いいたします。

次に、福島第一原発事故に関連して、いくつかの点についてお伺いいたします。現在、原発事故から5カ月近くが経過したにも関わらず、事故の収束に至る道ははるかに遠く、現在でも警戒区域、計画的避難地域、緊急時避難準備区域の三つの地域からだけでも12万人を超える方々が避難されています。事故による被害はどれほど巨大なものになるか想像もつきません。このような中で、私は被害を、すでに起こってしまった被害と、現在もまだ拡大中の被害にわけて認識するべきだと思います。土壌の汚染は、すでに起こってしまったことです。しかし、福島に住む人たち、そして全国民の放射能による汚染、健康被害は現在でも刻々と進行している問題なのです。日本政府は日本国民の健康被害を最小限に食い止めるために、各地の放射能汚染状況を詳細に調査・公表し、汚染度の高い地域における農業生産活動を一刻も早く停止するべきです。いったん農作物が生産されてしまうと、農業者がそれを市場に出荷したり、自ら食べたりすることを止めることは困難です。放射能により汚染された食品が市場に出回ったあとで、検査をして、高放射線量の物を取り除くことはほぼ不可能なのです。スーパーなどで原産地のラベルの張り替えが行われているという風評が立っています。東北や首都圏で子育てをされている母親が、どれほど苦労して、どれほど辛い思いをして食品を選び与えているか、ニュースに接するたびに胸が張り裂ける思いがいたします。ここで学校教育部に質問させていただきます。吹田市の小中学校の給食において、食材の放射能汚染からの安全確保をどのように図っておられるのか、現在行われている対策、今後の実施予定についてお聞かせ下さい。

そして放射能から子どもたちを守るためには、まず、空間放射線量の低い土地に子どもたちを避難させなくてはなりません。福島県をはじめとする汚染地域で子育てをされている方々の中には、安全な地域への避難を希望される方が多くいらっしゃいます。それを阻んでいるのが、移転先における就業先の不足です。お伺いいたします。吹田市では、臨時職員を募集し、幼い子供を持つ汚染地域のご夫婦を吹田市に受け入れることはできないのでしょうか?現在までの吹田市への被災者の受け入れ状況を含め答弁を求めます。

次に被災地からのごみ受け入れ問題について質問致します。4月8日付で環境省は都道府県を通じ、吹田市に東日本大震災の被災地の災害廃棄物の受け入れについての協力依頼を行いました。吹田市はこれに受け入れ可能と回答しました。お伺いいたします。吹田市はどのくらいの量のごみの受け入れが可能と回答されましたか?その積算根拠もお答えください。環境省は全国の市町村に被災地のごみ焼却に関して協力依頼をしており、京都市も、受け入れ可能量を環境省に回答しています。これに対し、京都市内の幼い子を持つ親たちでつくる市民サークル「京都ママ・パパの会」は、10マイクロシーベルト以上の放射線を含むゴミの受け入れ、焼却をしないよう市に要望したとのことです。

このゴミが、単純に地震や津波の被害により発生したゴミであれば、私も受け入れに反対いたしません。しかし現在被災地方面からくるゴミには放射性物質が付着している可能性が極めて高いのです。ゴミ焼却場付近の住民、そして吹田市民の健康を考えるとき、このゴミの受け入れを軽々に認めることは出来ません。環境部にお伺いいたします。被災地のゴミが吹田市に搬入される場合、まずどのような輸送手段で搬入されるのでしょうか。そしてその搬入されたゴミについて、その放射線量をどのように測定するのですか?ゴミは均一なものではありません。大型のトラックに積載されたゴミのうち一部が放射能に汚染されたものであるとき、ゴミの抜き取り検査だけでは、安全を担保できません。放射能で汚染されている可能性の高い瓦礫が大量に発生しているのです。国はこの瓦礫を汚染地域の中で処理することを検討するべきで、放射線量の低い地域に放射性物質をばらまくようなことは決してしてはならないのです。吹田市は被災地ゴミの受け入れを拒絶するべきだと考えます。市長の見解を伺います。

ついで、最近橋下知事、石原知事の発言がマスコミを賑わわせている「副首都」構想について質問致します。東京をバックアップする「副首都」構想は、石井一民主党副代表が代表を務め、200人を超える超党派議員でつくる「危機管理都市推進議員連盟」が実現を目指し活動を展開してきたものです。副首都構想について、橋下知事は4月27日に発表した政策提言で、「首都機能が壊滅的打撃をこうむった場合、関西が臨時政府や金融・証券の取引機能を代行できるよう、国は国土構造の複数系統化に着手すべきだ」と強く誘致を主張されています。
関西広域連合も翌日、関西を首都機能のバックアップ地域として法律や計画で明確化する提言をまとめました。また、副首都構想に強く異を唱えてきた東京都の石原知事も、3.11の経験をふまえ、東京の一極集中を否定し、副首都構想反対の旗を降ろされました。さらに菅直人首相は5月1日の参議院予算委員会で「東日本大震災の教訓をふまえて、首都中枢機能の継続性にむけた、さらなる対策を考えるべきだ----大地震があっても影響されない地域で、首都の中枢機能が代替できることについて、しっかりと考えておかなくてはならない」と述べ、新規立法も含めて政府内で検討を進める考え方を示されました。

東日本大震災で震度5強を記録した都内では、交通網がストップし、計画停電による混乱や、日用品の買い占め騒動が起こりました。地震研究の専門家は、東日本大震災後、首都圏直下型地震の危険性がかなり高まっていると警告しており、地震が発生した場合、東京における震度は5強を超え、今回以上のパニックが起こることが予見されます。また東京には政治・経済の中枢機関が集中しているために、これらの機能が麻痺すれば、国内が大混乱に陥る可能性があります。危機管理の専門家からも、首都の代替機能を完備した都市を早急に考えるべきだとの声が上がっています。危機管理都市推進議員連盟は、すでに危機管理都市に必要な機能の概要をかため、候補地として伊丹空港跡地、関西文化学術研究都市、万博公園、愛・地球博記念公園、名古屋空港跡地を検討、現在伊丹空港跡地が最有力候補になっているとのことです。ただし、もちろん伊丹空港の廃止については、橋下大阪府知事が主張されているものの、兵庫県や伊丹市は反対の立場で、政府と地方自治体との意見調整は、まだなされておりません。

私は吹田市が大阪府や周辺自治体、そして日本万国博覧会記念機構とともに、エキスポランド跡地に首都機能の一部を誘致されることを検討していただきたいと思います。ただし、万博記念公園のうち、自然文化園と平和のバラ園、日本庭園などについては決して開発をすることなく、現状を維持すべきだと思います。その理由について述べさせていただきます。

1970年に開催された日本万国博覧会は、世界の民族交流の上で記念すべき博覧会でした。アジアで行われた初めての万国博覧会であったことはもちろん、博覧会の性質そのものも新しいものでした。それまでの万国博覧会は、各国の最先端の産業と科学技術を披露する場でした。しかし、日本万国博覧会には欧米諸国とともに多くのアジア、アフリカの国々が集い、各国の固有の文化を披露しました。それに加えて、日本万国博覧会には「祭り」の要素がとりこまれました。世界各国のさまざまな民族芸能が披露され、日本各地のさまざまな祭りが万博会場、お祭り広場で行われたのです。いわば松浦晃一郎前ユネスコ事務局長が推進された無形文化遺産条約のムーブメントの先取りです。

また、日本万国博覧会は日本という国にとって何物にも代えがたい喜びの瞬間でした。歴史を遡りますと、長く鎖国を続けてきた日本が黒船によって世界の情勢に目を開かなくてはいけなくなったとき、そこに見たのは、欧米諸国によって迫害され、破壊されてゆく、アメリカ、アジア、アフリカの国家と諸民族でした。日本は欧米に学ぶことにより、自らの身を守ろうとしました。そして、身を守るために組織した軍隊が、ついには政府によるコントロールさえも受け付けなくなり暴走し、多くの戦争を引き起こし、アジアの諸民族に多大の損害を与えたのです。三百万人を超える日本人も亡くなりました。そして何十回もの大空襲、二つの原子爆弾、敗戦を経て訪れたのが現在まで続く平和だったのです。日本人は戦争で、都市や多くの人命を失っただけでなく、諸外国との友好関係も失っていました。1952年に発効したサンフランシスコ講和条約で、日本はようやく世界との友好関係を回復しました。そして敗戦からわずか二十五年後に、東京オリンピックに引き続き行われたのが日本万国博覧会でした。多くの日本人は、世界から訪れる、初めて出会う外国人に驚き、驚喜し、万国博というイベントのなかで、世界との一体感と平和を噛みしめました。いわば、日本万国博覧会は日本人という民族が大衆というレベルで初めて世界と平和に交流した最初のイベントだったのです。このような意味で、日本万国博覧会は日本人にとってかけがいのない歴史的な意味をもつのみならず、ユネスコ運動の目的である「教育、科学、文化を通じて世界の人々がお互いの無知や偏見を無くし、国や民族を越えて協力し、共に平和な社会をつくる」をまさに体現した重要なイベントであったといえます。

そして、日本万国博覧会会場跡地には緑豊かな文化公園、万博記念公園がつくられました。公園内には多くの素晴らしい文化施設があります。日本万国博覧会の政府出展施設として、日本の造園技術の粋を集めてつくられた昭和の名園、日本庭園があります。万博当時に世界平和を祈念して世界9カ国から贈られた48品種を含む81種5600本のバラが咲き誇るバラ園があります。万博のメイン会場、パビリオンの跡地であり、花と緑の憩いの場、野外コンサート会場、自立した森づくりの実験場となっている自然文化園もあります。民族学、文化人類学に関する調査研究を行う民族学博物館、2009年に閉館してしまいましたが、大阪府立国際児童文学館もありました。これら二つの施設の建物は国の公共建築百選に選ばれています。そして、大阪日本民芸館、迎賓館、2010年3月にオープンしたEXPO’70パビリオン、万博記念競技場、そして公園のシンボル太陽の塔があります。上海万博の跡地活用を考えるための視察団が中国から訪れ、絶賛した文化公園です。世界のどんな方々に見ていただいても恥ずかしくない公園です。

エキスポランド跡地が日本の副首都の誘致にふさわしいのは、この跡地が交通の利便性や、すでに完備されているその他のインフラに加えて、比類のない歴史と文化公園を持つからです。ここまで長く万博記念公園について述べましたのは、エキスポランドへの副首都の誘致が、決して文化公園の破壊に繋がらないよう祈るからであります。副首都誘致問題、文化公園保存問題について市長のご所見を伺います。

引き続き万博記念公園に関しまして、太陽の塔世界遺産化について伺います。太陽の塔は日本万国博覧会のテーマ館であり、内部に生命の進化をあらわす生命の樹をもち、現在・過去・未来の三つの顔をもつ岡本太郎氏の最高傑作です。現在老朽化も見られますが、補修工事が予定されています。太陽の塔世界遺産登録については平成16年(2004年)に「太陽の塔世界遺産への道を考えるフォーラム」が開催され、世界遺産登録に向けてのメッセージが発信されています。

世界遺産の登録基準は、2005年に文化遺産と自然遺産に関する基準が統合され、現在10の基準があります。その何れかに該当すると世界遺産委員会が認定すれば、その遺産は世界遺産になるわけでございますが、その基準第一は、人類の創造的才能を表す傑作であることです。現在太陽の塔の芸術作品としての評価はどんどん高くなっており、この基準に該当すると思われますが、さらに太陽の塔は日本万国博覧会との関係から、六、顕著で普遍的な価値をもつ出来事----に明白な関連があること、という基準に該当します。ユネスコの理念を体現する太陽の塔は、間違いなく世界遺産に値する価値を持つものです。過去多くの議員からの質問に答えて、吹田市は、太陽の塔の世界遺産化に積極的に取り組むと答弁されていますが、かつて大阪府議会議員時代に、万博記念公園を高く評価する質問を大阪府議会で行われていた井上市長も、この立場を踏襲されるのかお伺いいたします。

世界遺産への登録への手続きですが、吹田市はまず国に、地方公共団体からの提案として、文化庁の管理する世界遺産暫定一覧表に太陽の塔を追加してもらう必要があります。平成18年に初めての公募がありました。吹田市がこの時に、暫定リスト入りを申請しなかったのは大きな問題でした。次の公募がいつかは、私には情報がありませんが、理事者側が情報をお持ちでしたらお答えください。そしてこの暫定一覧表に登録してから、国からUNESCOに世界遺産として推薦されるために欠けている要件を順次クリアしていけばよいのです。太陽の塔の場合、建造から50年という一つの要件があるようですが、これもリストに入り順番待ちをしているうちにクリアされると思われます。大阪では仁徳天皇陵などが含まれる百舌鳥・古市古墳群がこの暫定一覧表に載っており、本年5月に大阪府、堺市などが中心になって世界文化遺産登録推進本部を立ち上げ、世界遺産登録へのステップを上り始めました。吹田市として、太陽の塔の世界遺産登録に向けて、推進本部設置などに進むためには、これからどのような条件が整う必要があるとお考えかお伺いいたします。

次に千里南地区センターについてお伺いいたします。
この地区の再開発事業については、生野議員がこれまで何度も質問をされておりましたが、私からも質問させていただきます。この開発事業においては、その中身においても、手続きにおいても、阪口市政の問題点が典型的に現れています。すなわち形のうえでの市民参画がおこなわれているが、結果的に市民の意思が反映されず、街づくりの理念よりも私益が出来あがったものに強く現れているということです。

平成16年に計画され、吹田市と大阪府タウン管理財団の手によって行われてきたこの事業において、旧専門店はガーデンモールになり、阪急百貨店系の3つの建物跡には巨大な高層マンションが出現し、交通広場の整備も行われました。今後は、残る地区センタービルと市民センタービルを取り壊して、そこに公共広場とリザーブゾーンを作ることが予定されています。私は、この再開発事業について問題提起をしつづけている「南千里地区センターを良くする会」の皆さまから、「公共広場を市民の手で作ろう、千里南地区センターを美しく活気のある町に」という冊子をいただきましたが、この冊子に書かれている再開発の問題点についての指摘は、非常に納得できるものです。
まず、地区センターが①ホテルマーレゾーン②公共ゾーン③商店ゾーン④マンションゾーン⑤医療ゾーンに五分割され、一体感を失いました。ついで、すでに建ってしまったマンションにより、風通しや見通しが悪くなり、威圧感が増し、地区センター全体が陰鬱になったことが指摘されています。さらにリザーブゾーンにマンションが建つと、圧迫感が増加します。吹田市が計画している公共広場はあまりに狭く、単なる空き地と化し、街の中心の役割を果たしていません。そして、街のイメージを形作ってきた、そして市民に親しまれてきた二つの建物が取り壊されること、日本のモダニズム建築の先駆者で、文化勲章受章者・村野藤吾設計の地区センターがなくなってしまうことは、歴史のある街づくりを行う上で、大きなマイナスだということです。

このような状態になった経緯については、生野議員の質問やこれまでの都市整備部の答弁にありますので繰り返しません。一言でいうと、市民の話は聞く機会を設けたが、その内容が事業に反映せず、市やタウン財団側の計画がそのまま生き残った。そして、なぜその案がすぐれているのか説明がされず、土地の民間への売却とマンション建設だけがすすんでいったということです。

いま、千里市民は声をあげています。それは私益を訴える声ではありません。この千里ニュータウンを作った人たちが街づくりにかけた理念を思い出そうという訴えです。そして未来の市民により快適で豊かな街を残そうという訴えです。この市民を多くの専門家が支え始めました。日本建築学会近畿支部からの保存要望書がでています。この学術団体が中心となった、南千里の街づくりを考えるシンポジウムが9月に予定されています。未来を構想していく、創造的な市民の声です。市民の側から、すでに、より大きな公園を中心に置き、それを取り囲むように店舗を配置する、あるいは公園の周囲に空中回廊を作って導線を確保するなどの対案がでています。私の目から見ると、公共スペースを豊かにする魅力的な案です。

井上市長は、阪口前市長の政治を変えてゆくと仰いました。あたらしい政治哲学、理念に基づいて市政を行うと仰っています。だからこそ、この南千里のまちづくりにおいては、タウン財団によるリザーブゾーンの民間業者への販売を簡単に認めるのではなく、村野藤吾の作品をすぐに取り壊すのではなく、ここで踏みとどまって、市民と専門家、そして市の職員の皆さんがもう一度しっかりと考える時間を与えてはいかがでしょうか。答弁を求めます。

ついで吹田市の地球温暖化対策についてお伺いいたします。
福島第一原発事故では、人間が、経験したことのない危機について、対応が非常に甘く、不十分になりがちであることを思い知りました。原発事故は収束しておりませんが、私たちは並行して地球温暖化への備えと対応を進めなくてはなりません。本年も酷暑の夏が続いております。全地球的に見ても、アメリカ東海岸の40度を超える猛暑、北極海の海氷面積が、この夏史上最少を記録していることなど、地球温暖化のスピードは間違いなく加速しています。吹田市が地球温暖化対策新実行計画などを作成され、対策を進めておられますことに敬意を表します。

市民の地球温暖化に対する意識は着実に高まってきたと思います。この時点で吹田市の地球温暖化対策の担当者には、2、3の意識改革をしていただきたいと思います。

一つには、地球温暖化の根本原因は化石燃料の大量消費にあり、再生エネルギーへの転換によって地球温暖化は克服可能であると、担当者自身が確信を持っていただきたいと思います。これから10年程度の間は、まだ地球温暖化は進みますが、その後、世界中の人々、および企業の意識革命により、エネルギー革命が起こり、二酸化炭素濃度の増加はコントロールされ、地球温暖化は食い止めることができます。市民の不安感が増してくると思われますので、担当者は、市民に省エネなどを教育されると同時に、事態がうまくコントロールされていることを伝えていただきたいと思います。

二つ目は、市民生活、企業活動の全般にわたって、省エネやエネルギー転換がおこなわれなくてはなりませんから、これからの対策はコストパフォーマンスが重要になってきます。これから行う地球温暖化対策事業は、各事業が二酸化炭素排出を具体的にどれだけ減らせるかをチェックし、コストパフォーマンスの良いものに集中的に資金と時間を投下していただきたいと思います。また、温暖化対策により、利益を得ることもできるようになります。ドイツなどで導入され、日本でも導入が検討されている再生可能エネルギーの固定価格買取制度は、太陽光発電などで生産された電気を電力会社が一定価格で必ず買い取ってくれるわけです。事業者は、設置コストを安くすると買取価格との差額が利益になります。今ドイツの太陽光発電による電気の買取価格は、40円/kwh程度ですが、コストが下がっているということで毎年20%近く切り下げられています。実際の発電コストは20円/kwh近くまでさがっているのではないかといわれています。吹田市は、これまで公共施設に太陽光発電などを取り付けられてきましたが、環境に良いというだけで、高すぎるコストを払ってきておられませんか?建物の屋上に据え付けるタイプはどうしても高コストになります。これからは、市もコスト意識を高め、さまざまな未利用地にコストパフォーマンスの良い太陽光発電装置などを設置し、利益を上げていただきたいと思います。担当部局の答弁を求めます。

三つ目は、地球温暖化による被害が生じないよう、対応をしなくてはならない事態に至っているということです。もっとも早く現れてくるのが、お年寄りや、小さな子どもたちへの健康被害です。吹田市はさまざまな施設の管理において、あるいは学校教育において、温暖化対策をしっかりと行う必要があります。学校教育部では教室にエアコンの取り付けを検討されているようですが、その前にしっかりとすべきことがあるはずです。まず各教室が、子供たちが授業を受けている状況において、どの程度の温度、湿度になっているか、調査されているかお答えください。

次に、エアコンが、もっとも有効でコストパフォーマンスの良い対応方法であると、調査の上決定されたのかお答えください。私は、教室の温度をエアコンを使わないで下げることのできる方法はあると思いますのでご報告させていただきます。一つは「熱交換塗料」です。これは、塗料の受けた太陽光線が、塗料のなかの熱交換物質に触れることで運動エネルギーに変わり、これが空気との接触によって空気分子の運動エネルギーにかわり塗料からの熱を奪うというもので、プールサイドや陸上競技場などの表面温度を下げるために東京などで使われ始め、急速に普及を始めている製品です。学校などの公共施設の屋上に塗布することを検討するべきではないでしょうか?二つ目は熱線遮断フイルムです。これはガラス張りのビルなどでよくつかわれているもので、明るさをある程度たもったまま、太陽の熱線が建物内に入ることを防いでくれます。子供や先生に不必要な我慢をさせないで温度を下げますので、是非とも検討していただきたいと思います。ほかにも何点かお伺いしたい点がございましたが、ここで一回目の質問を終わります。
お許しをいただきまして二回目の質問を行わせていただきます。ただ今、市長から、千里南地区センター、震災地からの廃棄物の受け入れ、副首都のエキスポランド跡地への受け入れなどについて、前向きな答弁を下さいました。また、井上市長の政治哲学についてもしっかりと伺わせていただきました。有難うございます。

この場をお借りしまして、二点、申し上げさせていただきます。

一つには、市の職員の皆様に、トライする気持ちをしっかりと持っていただきたいということです。吹田も、日本も、そして世界も、これまでやってきたことの連続の中ではやっていけないことを今皆が知っています。だから、我々は我々の持ち場である、吹田市の業務を行う中でさえも、一歩前に出てトライしなくてはならないのです。学校の教室が暑いのでエアコンを設置したい。しかし、エアコンは高くて一度に沢山設置することは出来ないという問題があります。こんなときに、エアコン以外にもっと、コストが安くて、子供たちを守れる方法はないか、手を尽くして方法を探す、他の市がやっていなくても、良さそうなものがあれば吹田市が一番にやってみる。それが我々の出来る、トライの一つなのです。

二つ目には、7月26日にお亡くなりになった小松左京先生のお言葉です。先生は、日本沈没、復活の日などの沢山の小説を書かれた他にも、日本万国博覧会や、花の万博のプロデューサーなど、多くの分野で活躍されました。箕面市に住まわれ、吹田市の行事にも多数出席していただきました。心より感謝申し上げ、ご冥福をお祈りいたします。

この小松左京先生が、2004年に行われた「太陽の塔世界遺産への道を考えるフォーラム」で仰られた言葉がありますので、ここで披露させていただきます。

みなさん万国博のモニュメントで一番有名なのは何かご存知ですか?エッフェル塔?その通りです。あれはまだ19世紀でした。それからそのもう一つ前にロンドンのクリスタルパレスが建築用の大きなガラスが出来たので使いました。太陽の塔は、造形と、構造が素晴らしいんです。それから、中身自体が一つの展示館になっているのがすごい。世界も賢くなってきて、ユネスコとか、世界遺産というものが出来ました。世界が国際化時代から地球時代に来た、その時代性を持った大きなモニュメントとして、この太陽の塔をなんとかやっぱり維持しなくてはならないだろうと思いまして、みんながこれを大事にするという意識をもつために、これを世界遺産の指定をうけたらいいだろうと思いまして。ここに老骨をひっさげて登場いたしました。そういうことでございます。皆さんも大いに応援してあげて下さい。  これで質問を終わります。


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