COP21の概要について

COP21の参加者は36,000人を超え、各国政府関係者約23,100人、国連機関、政府間組織および市民社会組織(NGO)が約9,400人、報道関係者約3,700人にのぼったとされています。

 パリ協定の目的は、工業化以前からの平均気温の上昇を2℃を十分に下回る水準にすることを協定の目標とし1.5℃への抑制を努力目標としています。国際条約に初めて温度目標が記載されました。気候変動枠気味条約にも、京都議定書にも具体的な数値などは記載されていませんでしたし、COP16のカンクン合意の全文でも、2℃や1.5℃に言及していましたが、あくまでも「認識」の対象で、目的とはされていませんでした。

 次に、温室効果ガスの排出については、できるだけ速やかなピークアウトとその後の急速な削減が必要で、今世紀後半に世界全体の人為的な排出と、人為的な吸収とを均衡させるという目標を設定しています。人為的な九州には、海洋や陸上生態系など自然界での吸収は含まず、森林などの吸収源の拡大や、二酸化炭素の回収・貯留・長期間隔離(CCS)などが考えられますが、排出量に対し、その吸収量は微々たるものですので、この決定は人為的な排出量をゼロにすることを意味します。これはIPCCから示された2℃未満への抑制のための要請に沿ったものです。

 そして、パリ協定では、締約国の義務として、締約国が国別目標(NDCs)を作成し、報告し、保持することを義務としています。この国別目標は、それまでのその国の目標を超えるもので、その国ができる最も高い削減水準でなくてはならないとされています。さらに、締約国には、削減の国内措置をとる義務があり、5年ごとに目標を提出する義務が定められています。さらに締約国には、長期の低炭素発展戦略を策定し、報告するよう努力する責務が規定されており、今世紀半ばまでの戦略を2020年までに事務局に提出することが要請されています。

発効要件は、世界の排出量の55%に相当する55か国の批准後30日で効力発生

「パリ協定を受けて政府はかつてない規模と速度で気候変動に取り組むことになる。低炭素型経済への移行を食い止めることはもうできない。化石燃料の時代は確実に終わる
欧州の環境保護団体EG3の代表が述べたこの言葉が、今回のCOP21の意味を端的に表現しています。

COP21で決定された内容の問題点と、それがどのように解決可能かについて
・COP21の最大の問題は、現在締約国が提出している国別削減目標の合計が、2℃目標の達成のためには大幅に不足している(1/4くらいしかない)ことで、途上国の排出削減のため、途上国に再生可能エネルギーシステムを導入しなくてはなりませんが、そのための資金をどのようにするか、あるいは発生してくる地球温暖化の被害に対応するための資金をどうするかが 問題です。

 このための手法として、世界みどり公社があります。この世界みどり公社の基本コンセプトは、再生可能エネルギーへの移行を求める人たちと、化石資源の既得権者、そして化石資源の値上げによって影響を被る発展途上国のエネルギー弱者などの消費者、三者の利害を調整し、すべての人がアクセス可能な持続可能なエネルギー供給を行いつつ、地球環境の要請を満たすところにあります。

私は、これを実現するためには、全世界の化石資源の生産と大規模な販売を管理する公社、専売公社を作り、その会社が現在の関係企業から権益を買い取ればよい。そして、権益者への支払いと、再生可能エネルギーへの投資、地球温暖化で生じる緊急的な被害への対応、そして、世界すべての人々に再生可能へのアクセスを可能とするための資金を生み出す価格で、化石資源を販売すればいいと考えました。今日は詳細をお話しする時間がないので、次回に回します。

・また、排出削減のための手法としてのCCS(炭素回収・貯留システム)には、実現に大きな問題があり、うまくいかない場合の代替案が必要です。水熱科学を利用した廃棄物処理システムが使えると思っていますが、これについても次回お話しさせていただきます。

・実は温暖化を止めるためには、二酸化炭素排出削減に加え、北極圏の温暖化を止め、メタンの発生を抑制しなくてはならないのです。このための方法についてはベーリング海峡ダムがありますが、これも次回に回させていただきます。

 

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