山口克也 議会レポート vol.7

皆様お元気ですか? 小泉政権の、勇ましい「改革なくして成長なし」の掛け声にも関わらず、日本経済は不況の海に深く沈み、デフレ傾向は一段と明らかになってきました。近畿圏の失業率はとうとう7%を超え、社会の安定感、安心感は消え去り、多くの中高年男性が自ら命を断っています。私は彼らの無念さに涙しながらも、自分の持ち場である吹田市で闘っています。

私が、議員としての立場で吹田市の現状を分析すればするほど、この良好な住宅都市吹田が今おかれている状況の厳しさを痛感します。このままでは吹田市の財政や環境が食い物にされてしまう、そして吹田市の阪口市長は、市民の側に立って吹田市をまもるどころか、開発を進める側のお先棒を担いでいるのです。これを知った皆さんが、阪口市政の存続を許すのか否か、今こそ市民の判断が問われています。

私は、私の市政に対する思いを貫くため、市長の焼却場建設計画にあくまでも賛成の立場をとる民主党会派を離れ、無所属議員として活動することを決断。会派未来を立ち上げました。市民と響働しながら吹田市の改革に取り組む私を、是非温かく見守っていただきたいと思います。

ディーゼル車が吹田市を覆う
(梅田貨物駅の吹田市への移転は回避可能です)

梅田貨物駅の吹田市への移転に関し、現在環境アセスメントが行なわれています。市民からの意見書が11,014通も提出されたことでも明らかなように、多くの市民が、ディーゼル車の市内通行を増加させるこの移転に強い不安を覚えています。しかしながら、梅田北ヤードを開発しようという強い政治的な力が働いているために、この移転を拒否することは大変難しいのではないかと考えられ、議員のなかでも最終的には条件闘争になるのではないかという考え方もありました。 私はこの問題に大きく関わる梅田北ヤード再開発シンポジウムに出席し、吹田市への貨物ターミナルの移転を止めるべきであるし、止めることができるという結論に至りました。

端的に言えば、このシンポジウムで、大阪市は、再開発される北ヤードにいかなる市の施設も建設するつもりはない、と明言されました。また、国土交通省も、この開発に関する具体的な国の補助金は何も無く、商業テナントやオフィスビルに関しては民間の需要が存在しない、といわれました。関経連からも、再開発に具体的に何かを期待する発言はありませんでした。つまり、梅田北ヤードについては、公園を造るとか美術館を造るなどという市民受けのする言葉が飛び交っていますが、実際に造られるのは、高層の商業ビルやマンションであり、その建設を望んでいるのは一部の業者と御用学者だけであり、関西経済連合会も国土交通省も、この事業を積極的に推進する立場にないという印象を受けました。

この梅田北ヤードの立地の優位性として、交通の結節点である、ということが強調されていました。しかし、この優位性を最大限に利用しているのが現在の貨物ターミナル駅です。それを交通網の未発達な吹田市に移転することは各トラックにとって大幅な時間のロスを強い、燃料の無駄づかいと大阪全体の環境悪化をもたらすと感じられました。鉄建公団は貨物駅の移転にかかる費用と現在の大変地価が下がったベースでの土地の売却益を勘案し、利益にならないものであれば、移転を行なわないという発言もしており、吹田市側の対応次第ではこの移転は止められるという印象を受けました。

現在吹田市の子供達の5%近くがぜんそくで、その割合は近年増加しています。環境アセスメントに対する意見書を読んでいると、子供さんを心配する親御さんの気持ちなどに、だれでも心を揺さぶられるはずです。ところが、阪口市長は特別委員会の席で、多数の反対意見についてどう思うかを訊かれ、市民の意見は多様だと、反対意見を軽視する発言をされています。吹田市は今まで貨物駅を受け入れるための手続きを粛々と進めて行くだけで、市民の立場に立った対応を全くしてきませんでした。私は吹田市の市長であれば、吹田市の市民を守るために貨物ターミナル受け入れ反対の立場に立って他団体と協議しなくてはならないと思います。移転計画が撤回される可能性はあるのです。皆さん本当に阪口市長に、貨物ターミナル受け入れか否か最終決断させるのですか?

次に吹田操車場跡地開発の問題があります。2002年10月1日付けの『市報すいた』で、吹田操車場跡地におけるまちづくりのイメージ(案)が掲載されました。そのなかには美しい街並みのイメージ図までが掲載され、開発が吹田市にとって望ましいことのように表現されていますが、そのような街を創るために吹田市の市民にかかってくる負担については一切書かれていません。インフラが全く整備されていない、吹操跡地には、上下水道、道路などのインフラや、公園、保育園、小学校などを整備せねばならず、この支出を考えるとき、跡地開発は吹田市にとって大きな財政負担となるの です。まとまった土地があるからすぐに開発するというのではなく、その 土地がほんとうに必要になるまで、その場所を緑地として保存しておくと いうこともひとつの選択肢です。跡地開発は吹田市の財政が極めて逼迫しているときに、行なうべき事業ではないと思います。そんなお金があったら、小中学校や保育園、幼稚園、公民館、図書館などを充実させませんか?
吹田市が出してきた
跡地にできる街のイメージ図


吹田市の財政が破綻する

吹田市の平成14年度の予算規模は一般会計、特別会計あわせて1793億円で、前年度とほぼ同じ水準を保ちましたが、内実は市税収入が大幅に落ち込み、76億円の歳入不足を財政調整基金の取崩しと特別債の発行で補ったかたちになっています。家計でいうところの預貯金にあたる財政調整基金は平成14年度末で48億円にすぎず、吹田市の財政は平成15年から赤字に転落します。吹田市の場合、この赤字が約190億円になったところで財政再建準用団体に陥るため、このままでは平成18年にも市が行なっている多くの独自の福祉施策を切捨てなければならない赤字再建団体に転落します。

さらに問題なのはこの数字には、ゴミ焼却場の建設などが含まれていないため、それも含めて考えると 吹田市の財政には全く余裕がないことがわかります。私には、なぜこの時期に先ほど述べた、吹操跡地の開発や下記の535億円の焼却炉建設を阪口市長が行なおうとしているのか理解できません。市長の権限で使えるお金は全て使ってしまい、つけを吹田市民に回そうとしているとしか思えません。

焼却炉が吹田市の財政と環境を食い尽くす

吹田市報を読むと、吹田市のゴミ処理場北工場は稼動から19年が経過し、老朽化が進んでいるとともに、吹田市内からのゴミ発生量は北工場の処理能力を超えて増加しており、処理能力の大きい新工場を建設すると書かれています。一般の方が読めば、そうなのか…仕方がないなぁと考える文章ですが、議員としての立場から読むと、ここには明かに市民に目隠しをしながら膨大な投資を行なう旧態依然とした公共事業のあり方が見えてきます。

まず、確かにゴミ焼却場の耐用年数は20年ですが、現在の北工場の老朽化度について取り壊しが必要かどうか、吹田市以外の公的機関も市民も全くチェックをしていません。そもそも、工場のどの部分が老朽化し、建替えが必要なのかについても情報開示はされていません。

次にゴミ焼却能力については、新工場では現在の能力450t/日を600tにまで増強することになっています。この前提となるゴミ発生量の増加ですが、ダイオキシン対策の強化により、産業廃棄物処理業者が自分たちの焼却炉で燃やせなくなったゴミを、吹田市に持ち込もうとしていることが増加の最大要因になると考えられています。ところが、法律、条例上は、吹田市はこのような業者のゴミを受け入れて処理しなくてはならない責任はありません。処理業者は本来、自分たちの力で新炉を建設する義務があるのです。市民の税金を使って、処理業者の負担するべき費用を肩代わりしようとしているのが、現在の吹田市であり、それを市民には一切、情報開示していません。市民が排出している家庭系ゴミについては、ここ10年、ほとんど増加しておらず、今後の環境意識の向上や、人口の減少、高齢化を考えた場合、今後、ゴミ量は減少すると考えられます。大阪府の計画でも平成22年度までにゴミ焼却量を20%近く削減する事になっています。

建設コストについても大きな問題があります。吹田市案では、日処理能力1tあたり9000万円の建設費になっていますが、大阪市の舞洲工場でも6500万円、愛知県豊橋市では4000万円、民間のゴミ発電工場では1500万円でできています。なぜわざわざこれほど高額なゴミ焼却炉を導入しようとするのか、阪口市長の倫理観が疑われます。

このゴミ処理計画は今後予想されるゴミの広域処理やゴミの資源化システムの導入を考慮しておらず、子々孫々のためにできるだけ効率良くゴミを資源化(電力化)するという観点から も見直しが必要です。


この大阪市の舞洲工場より、
4割も高い 建設コスト・・
金箔でもはるの?


最後に適正手続きという観点からもたいへん問題があります。吹田市はゴミ焼却施設検討委員会を設置することにより、市民参加の要件を満たすとしていますが、この委員会の検討対象からはわざわざ現在の焼却炉の老朽化度、ゴミ処理量予想、ゴミ処理能力を除外しています。市民参加を標榜する阪口市長は、ほんとうに市民にとって重要な、税金の使途が決定される問題については、市民に口をはさませないことが明確になりました。

万博記念公園がなくなる?

山田に住まわれている方々、そして大阪モノレールに乗られた方は、今エキスポタワーが解体されている姿にお気づきになったと思います。大阪万博開催から30年が経ち、外壁が剥落しはじめたエキスポタワーを解体することはやむをえなかったと思います。しかし、それ以外の大事なところで、万博記念公園が、姿を変えていこうとしていることを皆様は御存知でしょうか。

万博当時の建物として、最後に残されているといっていい、国立国際美術館、当時の万博美術館と、エキスポホールが、国立国際美術館が中の島に移転する事を機に解体されようとしています。これらの建物は、その存在が危険だから壊されようとしているのではありません。市町村合併とからみ、万博記念公園を公共事業用地として使おうとする人達が建物の取り壊しを推進しているのです。
 

  Japan Times Photo


彼らは私に言います。「将来吹田市と摂津市、茨木市等が合併したとき、万博記念公園周辺が新しい市の中心 になる。だから、新市庁舎や関連の施設を作るのに、 この万博記念公園の土地はとても大切なのだ。だから 万博美術館も、エキスポホールも、そして太陽の塔もぶっ潰して、更地をつくるのだ。山口君、悪い事はいわないから、万博美術館を残せなどという馬鹿なことをいうのは止めなさい。」
ちょっと待ってください。いったい何時、吹田市が他市と合併することがきまったのですか?吹田の市民はそんな合併について考えたこともないはずですよ。それから、万博記念公園は、地元の自治体、吹田市の意向を入れて作られた公園ですよ、吹田市の意向を無視して施設を勝手に壊してしまっていいんですか?万博の文化財としての価値をどう考えているんですか? あっそうだ、そういえば、新聞各紙が何か報道していたな、10月18日の新聞を見てみよう。

国立国際美術館移転後の有力な受け皿候補として期待されていた地元・吹田市の阪口善雄市長は、9月議会で----事実上の拒否を明言した

万博美術館を壊すのは吹田市長の意向だったのですね。阪口市長は将来北摂の7市3町村を合併して政令指定都市をつくり、大規模な公共事業を行ないたいと言われています。しかし、吹田市長一人の考えで日本から大阪万博の記念碑を消してしまっていいのでしょうか?阪口市長はよく「吹田の原風景をまもる」と言われていますが、万博記念公園は吹田の原風景じゃないんですか?

大阪万博は、戦後日本人が達成した高度成長の象徴ともいえる存在になっています。私たちの親の世代が達成した偉業を記念するために、大阪万博の記念碑的な建物を保存したいと考えています。そのために、ぜひ吹田市も積極的に参加して万博美術館を太陽の塔美術館として再生させましょう。これで、万博記念公園は守れます。

民主市民連合から会派未来へ

私の、吹田市の焼却炉計画に対する反対キャンペーンに対して、民主党会派の他の議員から、これ以上市長の政策に反対するようなキャンペーンをするのであれば、会派を離れるようにとの勧告をうけ、私は、民主党時代に多くのサポートをうけた方々の顔を思い出して忍びなかったのですが、会派を離れる決心をいたしました。しかし、かっての民主党をご支持下さった多くの方々は、きっとこの私の行動を御理解下さると信じています。

民主党を離れた今、私は今までに出会えなかった、さまざまな無党派のNPO団体、市民の皆さんとお話が出きるようになり、毎日がさらに充実しています。今後も、吹田市に住む方々、未来の子供達のことだけを考えて政治家として活動して行く所存です。これからも山口克也を宜しくお願いいたします。

 

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