議会レポートVol.6

皆様お元気ですか。ワールドカップの熱狂も終わり、日本や地域社会に噴出している重要な課題に真剣に取り組むべき時がきました。今国会で提案されていた有事関連法案、個人情報保護関連法案などについては、当面の嵐は過ぎ去ったようですが、自由で平和な日本の社会の基盤がいかに脆弱であるかを思い知らされた気がいたします。これからも私達は、自分を守ってくれているもの、自分が守らなくてはならないものを考え続けなくてはならないと痛感いたしました。

 吹田市では、大規模焼却炉の建設という循環型社会に逆行する巨大投資が、市民に詳しい情報を開示することなく行なわれようとしています。私は、阪口市長がこのような民主主義の手続きを無視した、吹田市の財政と地球環境の破壊につながる施策を行って行く姿を、吹田市議会で信じられない思いで見ていました。私がどんな思いで市議会で闘ったか、それに対して市側はどのように答えたか是非ホームページをご覧下さい。このレポートでも簡単にまとめました。是非本文をお読み下さい。

焼却炉建設のための論理が吹田を覆う

 昨年12月に吹田市が市議会に対し発表した吹田市のゴミ焼却施設整備計画は、議員からも衝撃をもって受け止められました。 焼却能力、現状の1.3倍以上の日量600トン、総工費535億円。私をはじめ多くの議員が将来のゴミ量推計など計画の問題点を厳しく指弾したにもかわらず、計画には何の変更も加えられず、三月議会では焼却炉計画関連の最初の予算が議会を通過してしまいました。吹田市が焼却炉計画の前提としているゴミ量推計と、その他の計画に関する問題点をご覧下さい。

前提となるゴミ量推計 本当にこんなに増えるの?

 問題点

 
吹田市案
問題点
ゴミ量予想 平成26年までに吹田市から排出されるゴミは3割以上増加する。 大阪府廃棄物処理計画では平成22年度までにゴミ焼却量を20%近く削減する事になっている。今後のゴミ量削減努力を考慮していない。
現炉の老朽化度
延命処置をしても平成23年以降は操業できない。
平成23年度段階で施設のどの部分がどのように老朽化しているのか、そこは本当に手直し不可能なのかが明らかにされていない。
建設費用 用地が狭い中、日処理量600トンの工場をつくるため、535億円の建設費と継続的な借地料が発生する。 吹田市案では、日処理量1トンあたり約9000万の建設費。他市では3,500万円から4,000万円で建設されている。なぜ倍以上かかるのか不明。

環境に対する配慮
最新の焼却炉。 今後、日本各地で行なわれる、ゴミの広域処理、及びゴミの資源化システムの導入を考慮していない。
適正手続き ゴミ焼却施設建設検討委員会を設置することにより、市民参加の要件を満たす。 現在の焼却炉の老朽化度、ゴミ処理量予想、ゴミ処理能力についてわざわざ委員会の検討対象から外している。

 
市側は、すいた市報などを使って、吹田市のゴミ量は増えており、焼却炉の処理能力を超えているなどと、焼却炉建設をあおるような記事を載せつづけます。しかし、そもそも吹田市のゴミ量が多いのは、吹田市がゴミ処理業者優遇の行政を行ってきたからです。

 吹田市は、家庭に対しては厳しくゴミの分別を要求しながら、事業者の排出するゴミについては分別を要求せず、新聞紙も、ダンボールもすべて焼却炉に投入していました。さらに吹田市がゴミ処理業者に要求する処理費用も、近隣市と比較しても大変安く、排出ゴミ量を削減するためのインセンティブを与えてきませんでした。このようにして増大したゴミ量を利用して、巨大な焼却炉をつくり、市民の税金を湯水のように使おうとしているのが阪口市長です。吹田市財政の危機を訴え、補助金や福祉を削減しつづけた方に、このような事が出来るとはとても信じられません。

ゴミ処理量が3分の2、建設コストが半分以下になれば、焼却場を仮に建設する場合でも、535億ではなく、180億円でつくれるのです。その差額355億円と、増大したゴミの処理費用の合計は625億円*、巨大焼却炉により吹田市のすべての学校教育・社会教育施設(幼稚園・小学校・中学校・体育館・市民プール・図書館・公民館等々)の簿価総額1200億円の半分が無駄遣いされることになります。

 焼却炉の建設にはさらにもっと大きな問題があります。ゴミは燃やしてもなくなりません。二酸化炭素になって空中に残り、それが地球の温暖化をもたらすのです。子供達に地球環境問題と闘うための武器を残すために、可能な限り環境に優しいゴミ処理システム**を創ろうと言う動きが先進自治体にあります。 焼却炉ではなく、そちらのシステムを吹田市は導入すべきです。富良野市、鎌倉市、横須賀市などでは焼却炉の建設をすでにストップしています。吹田市の市民の皆様の声だけがこの焼却炉建設を止める力です。是非皆様のお声を、私に頂きたいと思います。(メールアドレス:katsuya@bigfoot.com)

*(増加量一日100トン、1トンの処理費用を3万円と仮定して、300万円×300日×30年=概算で270億円)

**このシステムについては私のホームページで紹介しています


万博の歴史が消える

日本万国博覧会の閉会から32年が経過し、全世界から6400万人が訪れた祝祭の跡地は記念公園となり、今は緑の美しい森と芝生が広がります。20世紀、アジアの最大のイベントとなった日本万国博覧会は、世界中の文化が集った賑わいの瞬間として、日本が戦後の復興と高度成長を成し遂げた思い出ともに、日本人の記憶の中で燦然と輝いています。

しかし、時の経過は無情にもこの万博の跡地、日本万博記念公園の記念碑的な建造物を蝕ばみつつあります。平成14年8月にエキスポタワーの解体工事が始まります。そしてさらに今、国立国際美術館が万博記念公園から大阪市中之島へ移転することに伴ない、現在の国立国際美術館の建物である万国博美術館、そしてEXPOホールまでを取り壊す計画が進行しています。

 

これらの建物が消滅すると、太陽の塔は広い公園に寒々しく残され、公園全体についても万博の記念碑としての色彩が失われて行きます。日本万国博覧会は、日本人が忘れてしまってもよい思い出なのでしょうか。万博の意義に今一度光りをあて、忘れてはならない日本の歴史として蘇らせる方法はないのでしょうか。

私は、この元万国博美術館を吹田市が譲り受け、吹田市の美術活動の中心地とし、万国博覧会、そして日本の高度成長を記念する美術館として保存したいと考えています。どのような美術館にするべきかを議論するためのシンポジウムや、メーリングリストを利用した提言書づくりを始めています。大阪万博の開催地の市民として、そして太陽の塔のまちを作っていく当事者として、市民の皆様にこの作業に参加して頂きたく思います。案内ができるようになりましたら、HPにアップしますので、是非お読みいただき、ご参加くださるようお願い致します。

その他の吹田市の現状

財政問題

吹田市の財政は財政健全化計画の実施にもかかわらず、市税収入が予想以上の落ち込みを見せたため約76億円の歳入不足となり、財政調整基金の取崩し、赤字特例債の発行を行ないました。このペースで進むと吹田市は平成18年度に財政再建準用団体に陥ることとなり、そうなれば吹田市が独自に行なっている福祉施策などがすべて出来なくなってしまいます。私はこの現状について吹田市の対応を確認し、市側は、今後引き続き人件費の削減・事務事業の見直し・建設事業費の精査などを行なうと答弁しました。(このような状況のなかで、どうして焼却炉建設を行なうのでしょうか。)

まちづくりについて

阪急南千里駅東側の大阪府企業局所有地が民間の業者に売却されマンション建設が始まっています。付近の住民の方が大切にしてきた木々が切り倒されるのを、多くの皆さんが、苦々しい、悲しい思いで見られたと思います。阪急山田駅前周辺整備事業では、30階建て100メートル、メロード吹田を超えるマンションの建設が予定され、吹田市は必要な手続を着々と進めています。さらには公団、府営住宅の建替え計画が目白押しで、市民や行政がしっかりと監視しないと、吹田市がいままで守ってきた、都市環境、都市景観が急速に破壊されていく状況になっています。

人間、とくに子供は、マンションの部屋の中だけで育つのではありません。緑地・空地を含めた地域のなかでしか育っていけない生物なのです。住宅地には経済の論理にはのらない、必要な場所があります。大阪府千里センターもまちびらき40周年を機に、まちづくり市民フォーラムを開催されますが、住民の論理、子育ての論理が反映された議論が展開されて欲しいと願い、私もしっかりと注視していきます。

私も時に吹田市の未来に絶望感を覚える時があります。しかしそんなときには、私は先賢の言葉を読む事にしています。 東京大学教授 神野直彦さんの言葉です。

幼気(いたいけ)な「いのち」の誕生には、誰もが身の震えるような感動を覚える。「いのち」の誕生に包まれる幸感は、ただちに生きる使命感を喚起する。この幼気な「いのち」を守るために、生きなくてはならない。

この子がやがて眼にするであろう人間の住む街並みを、文化と伝統に彩られた豊かな生活空間に創り変えておこう。この子がやがて感動するであろう、四季の木漏れ日に映える美しい自然環境を整えておこう。そして何よりも、この子がやがて人を愛し、人に愛されるような人間性に溢れた社会を築いておこう。そうした使命感に駆り立てられて、人間は未来を構想していくことができる。

もし仮に今夜、この世が終わりを告げようとも、人間は明日のために今日を過ごさなくてはならない。人間は未来を構想し、未来を創造できる。

 

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